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「イタグレとミニピンの違いが知りたい」と検索しているあなたは、どちらの犬種が自分のライフスタイルに合うか悩んでいるかもしれません。
イタリアングレーハウンドの性格や特徴、そしてミニチュアピンシャーの性格や特徴は、見た目が似ていても大きく異なります。
この記事では、イタリアングレーハウンドの大きさや体重、ミニチュアピンシャーの大きさや体重といった体格差から、イタリアングレーハウンドの寿命や病気、ミニチュアピンシャーの寿命や病気といった健康面の違いまで、詳しく解説します。
さらに、イタリアングレーハウンドの散歩時間やミニチュアピンシャーの散歩時間、イタリアングレーハウンドの飼育費用とミニチュアピンシャーの飼育費用についても触れ、総合的な飼いやすさの比較を行います。
ポイント
- イタグレとミニピンの見た目と骨格の違い
- それぞれの性格と飼育環境の適正
- 必要な運動量やお手入れの違い
- 生涯かかる費用や寿命、かかりやすい病気の傾向
イタグレとミニピンの違いを比較【イタグレ編】
イタリアングレーハウンドの性格と特徴

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イタリアングレーハウンド(イタグレ)の最大の魅力は、その穏やかで物静かな性格にあります。
元々、イタリアのルネサンス期などで貴族の愛玩犬として寵愛されてきた歴史が長く、人々に寄り添い、家庭内で静かに過ごすことに適した気質を持っています。
家族に対しては非常に愛情深く、甘えん坊です。
飼い主のそばにいることを好み、膝の上に乗ったり、布団の中に潜り込んできたりと、常にぬくもりを感じていたいタイプの子が多いです。
一方で、その優雅な見た目通り、非常に繊細でデリケート、神経質な一面も強く持ち合わせています。
これはイタグレを飼う上で最も理解しておくべきポイントの一つです。
飼育のポイント
大きな物音、環境の変化(引っ越しや模様替え)、来客、見知らぬ犬などに敏感に反応し、ストレスを感じやすい傾向があります。
そのため、叱るしつけは逆効果になることが多く、恐怖心から心を閉ざしてしまうことも。
優しく、根気強く褒めて伸ばすトレーニングが向いています。
賢さと学習能力
イタグレは賢く、飼い主の気持ちを察する能力に長けています。
学習意欲も高いため、基本的なしつけやトレーニングは比較的スムーズに覚えることができます。
ただし、これはあくまで「飼い主との信頼関係」が築けていることが前提です。
前述の通り、神経質な面があるため、威圧的な態度で接すると、学習どころではなくなってしまいます。
多頭飼いや他のペットとの相性
攻撃性が低く、他の犬や人に対しても穏やかに接することができるため、多頭飼いにも向いている犬種と言われます。
特に、同じイタグレ同士や、穏やかな性格の犬種とは良好な関係を築きやすいです。
ただし、繊細な性格ゆえに、あまりに活発すぎる犬種や、体格差が大きすぎる犬種と一緒だと、ストレスを感じたり、遊びの中で怪我をしたりするリスクがあるため注意が必要です。
被毛の特徴とお手入れ
被毛は非常に短く、滑らかな手触りのシングルコートです。
このため、犬特有の体臭は非常に少なく、抜け毛も比較的少ないため、お手入れは非常に楽な部類に入ります。
週に1〜2回程度、ラバーブラシなどで優しくブラッシングしてあげるか、固く絞った濡れタオルで体を拭いてあげるだけで、美しい被毛を保つことができます。
ただし、皮膚がデリケートな子も多いため、シャンプーは月1回程度を目安にし、低刺激性のものを選んであげましょう。
イタリアングレーハウンドの大きさと体重

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イタリアングレーハウンドは、そのスリムで優雅な外見から「小型犬」に分類されます。
細く長い手足、アーチを描く背中、長い首が特徴的で、まるで小さな競走馬のような洗練されたスタイルを持っています。
ジャパンケネルクラブ(JKC)における犬種標準(スタンダード)では、以下のように定められています。
- 平均体高:32~38cm
- 平均体重:5kg以下
(参照:一般社団法人 ジャパンケネルクラブ 犬種スタンダード)
オスとメスによる体格差は、他の犬種に比べてほとんどないとされています。
体重5kg以下が理想とされていますが、これはあくまでドッグショーなどにおけるスタンダードです。
個体差の大きい「デカグレ」と「チビグレ」
イタグレは、同じ犬種であっても個体による体格差が非常に大きいことで知られています。
スタンダードの5kgを大きく超え、中には8kgや10kg近くまで成長する個体もおり、こうした大きな子たちは愛情を込めて「デカグレ」と呼ばれます。
逆に、スタンダードよりもかなり小柄な子は「チビグレ」と呼ばれることもあります。
デカグレになる理由は、血統的な要因や、成長期の食事量、飼育環境など様々ですが、スタンダードから外れているからといって健康に問題があるわけではありません(肥満は別です)。
最大の注意点:華奢な骨格と骨折リスク
イタグレの飼育を検討する上で、最も注意しなければならないのが骨の細さです。
彼らの骨格は非常に細く、デリケートです。特に子犬から若犬(1歳半頃まで)の時期は、わずかな衝撃で骨折してしまうリスクが常に伴います。
- ソファやベッドからの飛び降り
- 抱っこ中の落下
- 滑りやすいフローリングでの転倒
- 他の犬との激しい遊び
これらの日常的な動作が、前足や尻尾の骨折に繋がることが非常に多いです。
そのため、イタグレを迎える際は、床に滑り止めのマットやカーペットを敷き詰める、ソファやベッドにはステップ(階段)を設置するなどの環境整備が不可欠です。
体重管理も重要で、体重が増えすぎると、その華奢な骨格に大きな負担がかかります。
イタリアングレーハウンドの寿命と病気
イタリアングレーハウンドの平均寿命は、12歳から15歳程度とされています。
ペット保険大手のアニコム損害保険株式会社が発表した「家庭どうぶつ白書 2023」によると、イタグレの平均寿命は14.6歳となっており、日本の犬全体の平均寿命(14.1歳)と比較しても、比較的長寿な犬種であると言えます。
適切な健康管理と飼育環境を整えることで、10代後半まで元気に過ごす子も少なくありません。
健康寿命を延ばすためには、日々のケアと、かかりやすい病気への理解が重要です。
イタグレがかかりやすい病気とケガ
その繊細な体質ゆえに、特に注意が必要な病気やケガがあります。
1. 骨折(特に前足)
前述の通り、最も注意すべき怪我です。
アニコム損保の調査でも、他犬種に比べて「骨折」の請求割合が圧倒的に高いというデータがあります。
特に多いのが前足の「橈骨(とうこつ)・尺骨(しゃっこつ)骨折」です。
高い所からの飛び降りを絶対にさせない環境作りと、万が一に備えたペット保険への加入は強く推奨されます。
2. CDA(カラーダイリューション脱毛症)
「ブルー」や「フォーン(イザベラ)」といった淡い毛色のイタグレに見られることがある、遺伝性の皮膚疾患です。
メラニン色素の異常により毛がもろくなり、生後半年から3歳頃にかけて背中などを中心に脱毛が始まります。
残念ながら根本的な治療法はなく、保湿ケアやサプリメント、投薬などで症状を緩和する対症療法が中心となります。
3. 膝蓋骨脱臼(パテラ)
小型犬全般に多い関節疾患ですが、イタグレも例外ではありません。
膝のお皿(膝蓋骨)が正常な位置からずれてしまう病気で、先天的な場合と、打撲や転倒など後天的な場合があります。
症状としては、歩くときにスキップをしたり、足をかばうように歩いたりします。
滑りにくい床材にし、体重管理を徹底することが最大の予防策です。
4. 気管虚脱
気管がC字型に潰れてしまい、呼吸が苦しくなる病気です。
興奮時や運動後に「ガーガー」とガチョウが鳴くような乾いた咳が出るのが特徴です。
イタグレは首が細く、気管が弱い傾向があるため、首に負担のかかる首輪ではなく、体にフィットするハーネス(特にY字型など)を使用することが予防に繋がります。
健康寿命を伸ばすために
イタグレの健康寿命を延ばす最大のカギは、「怪我の予防」と「徹底した温度管理」です。
骨折をさせない室内環境の整備と、寒さに非常に弱いため秋冬の防寒対策、夏場の熱中症対策を徹底することが、彼らの健やかな生活を守ることに直結します。
イタリアングレーハウンドの散歩時間

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イタリアングレーハウンドは、その華奢で大人しそうな見た目からは想像しにくいかもしれませんが、多くの運動量を必要とする犬種です。
散歩の目安は、1日に2回、それぞれ30分~1時間程度が理想です。
彼らは「サイトハウンド(視覚ハウンド)」という、優れた視力と走力で獲物を追っていた猟犬のグループに属します。
そのため、ただゆっくり歩くだけの散歩では運動欲求が満たされません。
日々の散歩に加えて、週に数回はドッグランや安全が確保された広い場所で、思い切り走らせる時間を作ってあげることが非常に重要です。
全力疾走する姿はイタグレ本来の魅力であり、運動不足によるストレス発散にも不可欠です。
運動欲求が満たされないと、室内でのいたずら(ティッシュを引っ張り出す、家具をかじるなど)や、ストレスによる体調不良につながることもあります。
室内での生活が静かな分、外での発散はしっかりとさせてあげましょう。
運動時の注意点
1. 怪我の防止
全力で走ることが好きな反面、骨折のリスクは常につきまといます。
ドッグランでは、地面が平坦か、穴や障害物がないかを確認しましょう。
また、体格差の大きい犬や、遊び方が激しい犬との接触は、衝突による大怪我に繋がる可能性があるため、飼い主がしっかりと監督することが必要です。
2. 温度管理
イタグレは皮下脂肪が極端に少なく、被毛も短いため、寒さに非常に弱い犬種です。
冬場はもちろん、肌寒い春先や秋口でも、洋服を着せずに散歩に出るとすぐに震えてしまいます。
防寒具は必須アイテムです。逆に、夏場は黒っぽい毛色の子を中心に、アスファルトの熱や直射日光による熱中症に最大限の注意が必要です。
散歩は早朝や夜間の涼しい時間帯を選びましょう。
3. 室内での遊び:
雨の日などで散歩に行けない場合は、室内で知育玩具を使ったり、おもちゃを投げて持ってこさせたりする遊び(広いスペースが必要)でエネルギーを発散させてあげましょう。
ただし、フローリングで滑らないよう、必ずマットの上で遊ばせてください。
イタリアングレーハウンドの飼育費用
イタリアングレーハウンドを家族として迎える場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
初期費用と年間の維持費に分けて解説します。
初期費用
子犬の生体価格は、毛色や血統、購入先(ペットショップかブリーダーか)によって大きく変動しますが、約20万円~40万円が一般的な相場です。
生体価格に加えて、以下の用品を揃える初期費用がかかります。
- ケージまたはサークル
- ベッド、ブランケット
- 食器、給水器
- トイレトレー、トイレシーツ
- ペットヒーター(重要)
- 滑り止めマット、カーペット
- ステップ(ソファやベッド用)
- 首輪またはハーネス、リード
- キャリーバッグ
- おもちゃ
- ドッグフード(当面の分)
- 洋服(防寒用・夏用)
特にイタグレの場合、寒さ対策と骨折対策のためのアイテム(ヒーター、マット、ステップ、洋服)が他の犬種よりも必須となるため、初期費用は小型犬の中でもやや高めになる傾向があります。
合計で5万円~10万円程度は見ておくと良いでしょう。
年間の飼育費用
年間の維持費としては、主に以下の項目が挙げられます。
| フード・おやつ代 | 高品質なフードを選ぶと月5,000円~8,000円程度(年間6万~9.6万円) |
| 消耗品費 | トイレシーツ、ケア用品など(年間2万~3万円) |
| 医療費 | ワクチン、フィラリア予防薬、ノミダニ駆除薬(年間3万~5万円) |
| 被服費 | 防寒着、夏用のUVカット服、レインコートなど(年間1万~3万円) |
| 光熱費 | 冬場の暖房費、夏場の冷房費(他の犬種より割高になる可能性大) |
| ペット保険料 | 骨折リスクが高いため加入推奨(年間3万~6万円程度) |
特に大きな割合を占めるのが「光熱費」と「ペット保険料」です。
イタグレは寒さに極端に弱いため、冬場はエアコンやペットヒーターを24時間稼働させる家庭も少なくありません。
また、骨折した場合、手術や入院で20万円~40万円以上の高額な医療費がかかることも珍しくありません。
このリスクに備え、ペット保険への加入は強く推奨されます。
これらのイタグレ特有の事情を考慮すると、年間の飼育費用は最低でも20万円~30万円程度は見込んでおく必要があります。
イタグレとミニピンの違いを比較【ミニピン編】
ミニチュアピンシャーの性格と特徴

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ミニチュアピンシャー(ミニピン)は、その小さな体に反して、非常にエネルギッシュで自信に満ち溢れた犬種です。
「小さな体の番犬」と呼ばれる通り、活発で勇敢、そして賢いのが特徴です。
イタグレが「静」のイメージなら、ミニピンはまさに「動」。
常に何か楽しいことを探しているような好奇心旺盛さを持っています。
飼い主に対しては非常に忠実で、愛情深く甘えん坊な一面も強く見せますが、これはあくまで信頼関係を築いた家族に対してです。
元々、ドイツの農場でネズミや害獣を駆除する作業犬として活躍していた歴史があります。
この背景から、警戒心が非常に強く、番犬としての意識が高い点が、愛玩犬として育種されてきたイタグレとの決定的な違いです。
警戒心と吠えやすさ
見知らぬ人や物音、来客のチャイムなどに敏感に反応し、甲高い声でよく吠える傾向があります。
これは番犬としての本能的な行動ですが、集合住宅などで飼育する場合は、子犬の頃からの「社会化トレーニング」と「無駄吠えのしつけ」が不可欠です。
様々な音や人、他の犬に慣れさせ、不要な警戒心を解いてあげる必要があります。
賢さと頑固さ
ミニピンは非常に賢く、物事の飲み込みが早い犬種です。
トレーニングや芸を覚えるのも得意です。
しかし、賢い犬種にありがちな「頑固さ」と「自己主張の強さ」も併せ持っています。
飼い主がリーダーシップを取れないと、自分がリーダーになろうとして、指示を聞かなくなったり、わがままになったりすることがあります。
しつけにおいては、甘やかすだけではうまくいきません。
愛情を注ぎつつも、一貫性のある毅然とした態度でルールを教えることが重要です。
賢い分、遊びを取り入れたトレーニングを好みます。
多頭飼いや他のペットとの相性
飼い主への忠誠心が高い反面、他の犬に対しては警戒心を見せることがあります。
特に、自分より大きな犬にも果敢に向かっていく勇敢さ(無謀さ)があるため、相手の犬種や性格との相性は重要です。
ネズミ捕りの本能から、ハムスターや小鳥などの小動物との同居は注意が必要です。
被毛の特徴とお手入れ
ミニピンもイタグレと同様、短く滑らかなシングルコートです。
お手入れは比較的簡単で、ラバーブラシでのブラッシングや、固く絞ったタオルで拭く程度で十分です。
ただし、抜け毛はイタグレよりも「やや多い」と感じる飼い主が多いようです。
とはいえ、ダブルコートの犬種に比べれば圧倒的に少ないです。
ミニチュアピンシャーの大きさと体重

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ミニチュアピンシャーは小型犬に分類されます。
イタグレが「スリムで優雅」と表現されるのに対し、ミニピンは「コンパクトで筋肉質」という表現がぴったりです。
ジャパンケネルクラブ(JKC)における犬種標準(スタンダード)では、以下のように定められています。
- 平均体高:25~30cm
- 平均体重:4~6kg
(参照:一般社団法人 ジャパンケネルクラブ 犬種スタンダード)
体高はイタグレよりも低いですが、体重はほぼ同じか、やや重い傾向があります。
これは、ミニピンのほうが骨格ががっしりとしており、全身が引き締まった筋肉で覆われているためです。
背中はまっすぐで、胸を張った堂々とした立ち姿が特徴です。
特徴的な「ハックニー歩様」
ミニピンの大きな特徴の一つに、「ハックニー歩様(Hackney gait)」と呼ばれる独特な歩き方があります。
これは、馬車を引くハックニー馬のように、前足を高く上げて歩く姿を指します。
この歩様はミニピンの自信と活発さの表れとも言われ、スタンダードとしても評価されるポイントです。
ドーベルマンとの誤解
その精悍な見た目と毛色(特にブラック&タン)から、「ドーベルマンを小型化した犬種」と誤解されることが非常に多いですが、これは間違いです。
犬種としての歴史はミニチュアピンシャーのほうが遥かに古く、両者に血縁関係はありません。
ミニピンはジャーマン・ピンシャーやダックスフンド、イタリアングレーハウンドなどを交配させて作出されたと考えられており、ドーベルマンはミニピンよりも後に、別の目的で作られた犬種です。
イタグレと比較した場合、ミニピンの手足も細いですが、骨自体はイタグレほど華奢ではなく、比較的しっかりしています。
とはいえ、小型犬であることに変わりはないため、高所からの飛び降りなどには同様の注意が必要です。
ミニチュアピンシャーの寿命と病気
ミニチュアピンシャーの平均寿命は、12歳から15歳程度とされています。
アニコム損保「家庭どうぶつ白書 2023」によれば、平均寿命は14.3歳となっており、イタグRE(14.6歳)とほぼ同様、長寿な犬種と言えます。
小型犬ながら筋肉質で丈夫な体を持つミニピンですが、遺伝的になりやすい病気や、その体質から注意すべき点があります。
ミニピンがかかりやすい病気
1. 皮膚疾患(アレルギー性皮膚炎、膿皮症など)
短毛種であるため、皮膚が直接刺激を受けやすく、アレルギーや細菌感染による皮膚トラブルを起こすことがあります。
特に、食物アレルギーやハウスダストなどが原因で体を痒がったり、赤い発疹や脱毛が見られたりすることがあります。
皮膚の常在菌であるブドウ球菌などが異常増殖する「膿皮症」にも注意が必要です。
体を清潔に保つこと、アレルゲンを特定して除去することが重要です。
2. 糖尿病
ミニピンは、遺伝的に糖尿病を発症しやすい犬種の一つとして知られています。
血糖値を下げるインスリンの働きが悪くなる病気で、「多飲多尿(水を大量に飲み、大量におしっこをする)」「体重減少(食べているのに痩せる)」といった症状が見られます。
肥満が大きなリスク因子となるため、厳格な体重管理と食事管理が予防の鍵となります。
3. レッグ・カルベ・ペルテス病
太ももの骨の先端(大腿骨頭)への血流が滞り、骨頭が壊死してしまう病気です。
原因は不明ですが、小型犬の若齢期(1歳未満)に発症することが多いとされています。
症状としては、後ろ足を痛がって挙げたり、引きずったりします。早期発見と外科手術による治療が一般的です。
4. 膝蓋骨脱臼(パテラ)
イタグレ同様、小型犬に多い関節疾患です。
ミニピンも活発に動き回るため、膝に負担がかかりやすいです。
イタグレほどの骨折リスクはありませんが、滑りやすい床での生活は避け、ソファなどにはステップを設置するなどの配慮が推奨されます。
健康寿命を延ばすために
ミニピンの健康維持には、「体重管理」と「皮膚のケア」が特に重要です。
活発な分、食事の要求量も多いかもしれませんが、肥満は糖尿病や関節疾患のリスクを飛躍的に高めます。
定期的な運動で筋肉を維持し、適切な食事量を守ることが長寿に繋がります。
また、皮膚の状態を日々チェックし、痒がる素振りなどがあれば早めに動物病院に相談しましょう。
ミニチュアピンシャーの散歩時間

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ミニチュアピンシャーは、その小さな体からは想像もつかないほどの豊富な運動量を必要とします。
彼らのエネルギーレベルは非常に高く、イタグレと比較しても、より多くの運動が必要です。
散歩の目安は、最低でも1日2回、各回30分~1時間程度です。
イタグレが「走る時間」を別に必要とするのに対し、ミニピンは「日々の散歩自体」にしっかりとした運動強度と時間を求める傾向があります。
ただ歩くだけでなく、早歩きを取り入れたり、コースを変えて新しい刺激を与えたりすることが大切です。
元々が作業犬であったため、体力もスタミナも十分にあります。
運動不足が引き起こす問題行動
ミニピンの飼育で最も注意すべき点の一つが、運動不足によるストレスです。
有り余るエネルギーが満たされないと、それが問題行動として現れることが非常に多いです。
- 過度な吠え癖(チャイムや物音に異常に反応する)
- 噛み癖(人や家具を噛む)
- 室内での破壊行動
- 落ち着きがなく、常に動き回る
これらの行動は、ミニピンの性格が悪いのではなく、単に「退屈」で「エネルギーが余っている」サインであることがほとんどです。
運動の「質」も重要
ミニピンは非常に賢いため、体を使う運動だけでなく、頭を使う運動も大好きです。
日々の散歩に加えて、以下のような活動を取り入れると、心身ともに満足度が高まります。
- 知育玩具:フードやおやつを隠して探させるノーズワークトイ。
- ドッグラン:他の犬と遊ぶのも良いですが、飼い主とおもちゃで遊ぶ時間を大切にしましょう。
- アジリティ:障害物をクリアしていくドッグスポーツ。ミニピンの賢さと運動能力を活かせます。
イタグレ同様、短毛で寒さには弱い(イタグレほどではありませんが)ため、冬場の防寒対策は必要です。
ミニチュアピンシャーの飼育費用
ミニチュアピンシャーを家族に迎える場合、イタグレとは少し異なる点に費用がかかる可能性があります。
初期費用
子犬の生体価格は、約24万円前後が相場とされていますが、毛色(特にチョコタンやレッドなど)や血統によって価格は変動します。
生体価格に加えて、以下の用品を揃える初期費用がかかります。
- ケージまたはサークル
- ベッド
- 食器、給水器
- トイレトレー、トイレシーツ
- ペットヒーター(イタグレほどではないが推奨)
- 滑り止めマット(推奨)
- ステップ(推奨)
- ハーネス、リード
- キャリーバッグ
- 知育玩具を含むおもちゃ(重要)
- ドッグフード(当面の分)
- 洋服(防寒用)
イタグレほどの徹底した骨折対策(高価なマットを部屋中に敷き詰めるなど)は不要かもしれませんが、関節保護のために滑り止めマットやステップは推奨されます。
また、運動欲求と知的好奇心を満たすための「おもちゃ類」は多めに用意しておくと良いでしょう。
初期費用は合計で5万円~8万円程度を見ておくと安心です。
年間の飼育費用
年間の維持費としては、以下の項目が挙げられます。
| フード・おやつ代 | 活動量が多いため、高品質なタンパク質を含むフードを選ぶと月5,000円~8,000円程度(年間6万~9.6万円) |
| 消耗品費 | トイレシーツ、ケア用品など(年間2万~3万円) |
| 医療費 | ワクチン、フィラリア予防薬、ノミダニ駆除薬(年間3万~5万円) |
| 被服費 | 防寒着、レインコートなど(年間1万円程度) |
| トレーニング費用 | 吠え癖や頑固さのしつけが難しい場合、専門家のサポート(数万円~) |
| ペット保険料 | 皮膚疾患や糖尿病、関節疾患に備え加入推奨(年間2万~4万円程度) |
イタグレとの大きな違いは「トレーニング費用」がかかる可能性です。
ミニピンは賢い反面、頑固さと警戒心の強さから、特に犬の飼育初心者にとってはしつけが難しい場面(特に吠え)が出てくることがあります。
その場合、子犬の時期の「パピー教室」や、個別のしつけトレーニングを利用する費用を考慮しておくと安心です。
イタグレに比べて骨折リスクは低いため、保険料はやや安価なプランでも対応できる可能性がありますが、皮膚疾患や糖尿病のリスクは考慮すべきです。
年間の飼育費用は、イタグレとほぼ同等か、トレーニング費用を含めると20万円~30万円程度を見込んでおくのが現実的です。
飼いやすさ比較!イタグレとミニピンの違いのまとめ
これまでの情報を踏まえ、イタグレとミニピンの「飼いやすさ」は、飼い主のライフスタイルや犬に何を求めるかによって全く異なってきます。
どちらが優れているということではなく、あなたの生活にどちらが「合う」かが重要です。
| 比較項目 | イタリアングレーハウンド(イタグレ) | ミニチュアピンシャー(ミニピン) |
|---|---|---|
| 性格(飼いやすさ) | ◎ 穏やかで温厚 (ただし非常に繊細でストレスに弱い) | △ 活発で勇敢 (頑固さ、警戒心、吠えやすさあり) |
| しつけの難易度 | ○ 比較的易しい (褒めて伸ばす。叱るしつけはNG) | △ やや難しい (賢いが頑固。一貫性が必要) |
| 運動量(飼い主の負担) | △ 中~多 (毎日の散歩+全力疾走できる時間と場所が必要) | △ 多 (毎日の十分な散歩と頭を使う遊びが必要) |
| お手入れ(被毛) | ◎ 非常に楽 (抜け毛・体臭ともに少ない) | ○ 楽 (抜け毛はイタグレよりやや多い) |
| 飼育環境(注意点) | × 非常に注意が必要 (骨折対策と徹底した温度管理が必須) | ○ 比較的適応 (滑り止め・温度管理は推奨) |
| 留守番の得意度 | △ 苦手な傾向 (甘えん坊で分離不安になりやすい) | △ 苦手な傾向 (退屈でストレスを溜めやすい) |
| 集合住宅での適性 | ○ 静か (吠えにくいが、足音対策は必要) | × 吠えやすい (番犬気質。しつけが必須) |
| 初心者への推奨度 | △ (性格は良いが、怪我と温度管理が大変) | △ (しつけと運動量の確保が大変) |
この記事で解説した、イタグレとミニピンの違いに関する要点を最後にまとめます。
まとめ
- イタグレとミニピンは見た目が似ているがルーツが異なる
- イタグレはイタリア原産の愛玩犬
- ミニピンはドイツ原産のネズミ捕り犬
- イタグレは細身で繊細な骨格
- ミニピンは筋肉質でがっしりした骨格
- イタグレは穏やかで優しい性格
- ミニピンは活発で勇敢な性格
- イタグレは体高約33~38cm、体重約3~5kg
- ミニピンは体高約25~30cm、体重約4~6kg
- イタグレは骨折しやすく細心の注意が必要
- ミニピンは警戒心が強く吠えやすい傾向がある
- イタグレは寒さに非常に弱く防寒対策が必須
- ミニピンも寒さに弱いがイタグレほどではない
- イタグレの散歩は1日30分~1時間程度
- ミニピンの散歩は1日1時間以上が目安
- どちらも寿命は14歳前後と比較的長寿
- 飼いやすさはライフスタイルによって異なる
イタグレとミニピンの違い、お分かりいただけたでしょうか。
見た目は似ていても、穏やかで飼い主に寄り添うイタグレと、活発で番犬気質なミニピンとでは、性格や必要な環境が大きく異なります。
イタグレには骨折防止の環境整備と徹底した温度管理が、ミニピンには十分な運動量としつけの一貫性が求められます。
この記事で解説したそれぞれの飼いやすさ、寿命や費用、病気の違いを参考に、ご自身のライフスタイルに本当に合うのはどちらか、じっくりと見極めてください。
深い理解こそが、二度とない素晴らしい犬との出会いに繋がるはずです。


