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愛犬のおならが卵の腐った匂いで驚いた経験はありませんか?そのくさい原因は一体何なのでしょう。
単なる食べ物の影響だけでなく、腸内環境の乱れによる悪玉菌の増加や、老化、ストレスが関係していることもあります。
時には病気のサインである可能性もあるため、気になる症状には注意が必要です。
この記事では、犬のおならの正体から、愛犬がリラックスして過ごせるための対策まで、詳しく解説します。
ポイント
- 犬のおならが卵の腐ったような匂いになる主な原因
- おならの匂いや回数から考えられる病気のサイン
- 動物病院を受診すべき危険な症状の見分け方
- 今日から家庭で実践できる具体的な改善策
犬のおならが卵の腐った匂いになる原因とは?
そもそも犬のおならの正体とは?

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犬のおならも、私たち人間と基本的には同じ仕組みで発生します。
おならの成分は、大きく分けて2種類です。
一つは、食事や呼吸の際に口から飲み込んだ空気です。
特に、パグやフレンチ・ブルドッグのような鼻が短い「短頭種」は、構造上、呼吸の際に空気を飲み込みやすく、おならが出やすい傾向にあります。
また、フードを勢いよく食べる早食いの癖がある犬も、食べ物と一緒に大量の空気を飲み込んでしまうため、おならの回数が増える原因になります。
そしてもう一つは、腸内で食べ物が分解される過程で発生するガスです。
腸内にいる細菌が、消化しきれなかった食べ物を発酵・分解する際に、さまざまなガスが生まれます。
これらが混ざり合って、おならとして排出されるのです。
つまり、おならの回数や匂いは、飲み込む空気の量と、腸内でのガスの発生量によって決まります。
豆知識:おならの約9割は無臭
おならの成分の大部分は、窒素や酸素、二酸化炭素、水素、メタンといった無臭のガスです。
匂いの原因となる成分は、全体の1%にも満たないと言われています。
おならが特にくさい原因は硫化水素
「卵が腐ったような匂い」や「硫黄のような匂い」と表現される強烈な悪臭の主な原因は、硫化水素というガスです。
このガスは、タンパク質が腸内の悪玉菌によって分解される際に発生します。
他にも、インドールやスカトールといった成分も便のような匂いの元となりますが、特にツンと鼻につく腐卵臭は、硫化水素の仕業と考えてよいでしょう。
そのため、愛犬のおならが急に臭くなった場合、腸内でタンパク質が異常発酵し、悪玉菌が優勢になっている可能性が考えられます。
硫化水素の発生量が増えているということは、腸内環境が悪化しているサインかもしれません。
消化しにくい食べ物をチェック

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おならの匂いは、毎日の食事内容に大きく影響されます。
もし愛犬のおならが臭いと感じたら、まずはフードやおやつの内容を見直してみましょう。
特に、以下のような食べ物は、おならが臭くなる原因になりやすいです。
動物性タンパク質の過剰摂取
肉や魚、卵などの動物性タンパク質は、犬にとって重要な栄養素ですが、過剰に摂取すると消化しきれずに腸内で腐敗しやすくなります。
前述の通り、タンパク質は悪玉菌のエサとなり、分解される過程で硫化水素やアンモニアなどの臭いガスを発生させます。
品質の低いフード
安価なドッグフードの中には、トウモロコシや大豆などの犬が消化しにくい植物性タンパク質や、品質の悪い動物性副産物が多く含まれている場合があります。
これらの原材料は消化不良を起こしやすく、腸内での異常発酵につながります。
食物繊維が豊富な食材
サツマイモや豆類、キャベツといった食物繊維が豊富な野菜は、適量であれば腸の働きを助けます。
しかし、摂りすぎると腸内での発酵時間が長くなり、ガスが多く発生する原因になります。
これにより、おならの回数が増えたり、匂いが強くなったりすることがあります。
フードを新しい種類に変えたタイミングでおならが臭くなった場合は、そのフードが愛犬の体質に合っていない可能性も考えられますね。
| 匂いが強くなる原因 | 具体的な食材・成分の例 |
|---|---|
| 動物性タンパク質の過剰摂取 | 肉類(特に赤身肉)、卵、魚、品質の悪い動物性副産物 |
| 消化しにくい穀物・豆類 | トウモロコシ、大豆、小麦、豆類全般 |
| 食物繊維の過剰摂取 | サツマイモ、カボチャ、キャベツ、ブロッコリー |
| 乳製品 | 牛乳、チーズ(犬は乳糖を分解する酵素が少ないため) |
腸内の悪玉菌が増えているサイン
犬の腸内には、人間と同じように多種多様な細菌が生息しており、「腸内フローラ(腸内細菌叢)」を形成しています。
これらは大きく分けて、体に良い働きをする「善玉菌」、悪い働きをする「悪玉菌」、そしてどちらにもなりうる「日和見菌」の3種類に分類されます。
健康な状態では、これらの菌がバランスを保っています。
しかし、何らかの原因で悪玉菌が善玉菌よりも優勢になると、腸内環境は一気に悪化します。
悪玉菌は、腸内に残った未消化の食べ物を腐敗させ、硫化水素やアンモニアといった有害物質や臭いガスを大量に発生させます。
つまり、おならが非常に臭いということは、腸内で悪玉菌が増殖しているサインであり、腸内フローラのバランスが崩れている可能性が高いと言えるのです。
腸内環境の悪化が招くこと
- おならや便の悪臭
- 下痢や便秘などの便通異常
- 免疫力の低下
ストレスによる腸機能の低下も

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意外に思われるかもしれませんが、犬もストレスによってお腹の調子を崩すことがあります。
「脳腸相関」という言葉があるように、脳と腸は自律神経を介して密接につながっています。
犬が引越しや長時間の留守番、家族構成の変化などで強いストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れてしまいます。
すると、腸の動き(蠕動運動)が鈍くなり、消化不良や便秘を引き起こしやすくなるのです。
腸内に便が長く留まると、それだけ腐敗が進み、悪玉菌が増殖して臭いガスが発生しやすくなります。
愛犬の生活環境に何か変化がなかったか、振り返ってみることも大切です。
老化による消化機能の衰え
シニア期に入った犬は、若い頃と同じフードを食べていても、おならが臭くなることがあります。
これは、加齢に伴う自然な身体の変化が原因です。
年齢を重ねると、食べ物を消化するために必要な消化酵素の分泌量が減少したり、胃腸の働きそのものが弱くなったりします。
その結果、食べ物を十分に消化・吸収できなくなり、腸内に未消化物が残りやすくなるのです。
これが腸内環境の悪化を招き、おならの匂いを強くする原因となります。
また、運動量の低下によって腸の動きが鈍くなることも、ガスが溜まりやすくなる一因です。
シニア犬の急な変化には特に注意
高齢の犬で、急におならが臭くなったり回数が増えたりした場合は、消化機能の低下だけでなく、病気が隠れている可能性も考えられます。
食欲や体重の変化など、他の症状がないか注意深く観察してください。
リラックスしている時にもおならは出る
これまでおならが臭くなる原因について解説してきましたが、犬がおならをすること自体は、ごく自然な生理現象です。
特に、病的な原因だけでなく、ポジティブな理由でおならが出ることもあります。
犬が飼い主さんのそばでくつろいでいる時や、ぐっすり眠っている時に「プッ」とおならをすることがあります。
これは、心身ともにリラックスし、副交感神経が優位になっている証拠です。
副交感神経は、胃腸の働きを活発にする作用があるため、消化が進んでガスが排出されやすくなるのです。
このような時のおならは、愛犬が安心しているサインと捉えることもできます。
匂いが特に気にならなければ、心配する必要はないでしょう。
犬のおならが卵の腐った匂いがする時の対処法

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まずは考えられる病気を知ろう
おならの悪臭は、多くの場合、食事や腸内環境の乱れが原因ですが、中には病気が隠れている可能性もあります。
特に、匂いが異常に強い、急に臭くなったなどの変化に加え、他の症状が見られる場合は注意が必要です。
おならの異常から考えられる代表的な病気には、以下のようなものがあります。
注意が必要な消化器系の病気
- 炎症性腸疾患(IBD)
- 腸に慢性的な炎症が起こる病気です。臭いおならの他に、慢性的な下痢や嘔吐、体重減少などが見られます。
- 膵外分泌不全(EPI)
- 膵臓から消化酵素が十分に分泌されず、食べ物を正常に消化・吸収できなくなる病気です。食欲はあるのに痩せていき、白っぽく量の多い便(脂肪便)と、非常に臭いおならが特徴です。
- 消化管の腫瘍
- 胃や腸に腫瘍ができると、腸の通過障害や正常な消化活動が妨げられます。これにより未消化物が腐敗し、おならが臭くなることがあります。特に高齢犬で注意が必要です。
- 腸閉塞(イレウス)
- おもちゃなどの誤飲によって腸が詰まってしまう病気です。食べ物やガスが腸内に溜まり、腐敗することで強烈な悪臭のおならが出ることがあります。嘔吐や腹痛を伴うことが多く、緊急性の高い状態です。
これらはあくまで一例です。自己判断せず、気になる症状があれば必ず獣医師に相談してください。
こんな症状に注意!病院へ行く目安

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おならが臭いだけでなく、以下のような症状が一つでも見られる場合は、様子を見ずにできるだけ早く動物病院を受診してください。
病気の早期発見・早期治療につながります。
動物病院へ連れて行くべき症状のチェックリスト
- 元気・食欲がない:普段と比べて明らかにぐったりしている、大好きなおやつも食べない。
- 嘔吐や下痢を繰り返す:特に、水のような下痢が止まらなかったり、血が混じっていたりする場合は危険なサインです。
- 体重が急に減ってきた:食事量は変わらないのに、痩せてきた。
- お腹が張って苦しそう:お腹がパンパンに膨れていたり、触られるのを嫌がったりする。落ち着きなくウロウロする。
- 便の色や形がおかしい:黒っぽい便(血便の可能性)、白っぽい便、粘液状の便など。
特に、子犬や高齢犬は体調が急変しやすいため、少しでも「おかしいな」と感じたら、すぐに獣医師に相談することが重要です。
受診の際は、いつからどのような症状があるか、便の状態などを詳しく伝えられるようにメモしておくと診察がスムーズです。
家庭でできる腸内環境の整え方
病的な原因が考えられず、元気や食欲もある場合は、ご家庭でのケアによっておならの匂いが改善することがあります。
愛犬の腸内環境を整えるために、今日からできることをいくつかご紹介します。
食事内容を見直す
まずはフードの原材料を確認し、良質な動物性タンパク質が主原料で、消化しやすいものを選びましょう。
急にフードを切り替えると、かえってお腹を壊すことがあるため、1週間ほどかけて今までのフードに少しずつ混ぜながら、徐々に切り替えていくのがポイントです。
食事の与え方を工夫する
早食いは空気を飲み込む原因になります。早食い防止用の食器を利用したり、1回の食事量を減らして回数を増やしたりすることで、ゆっくり食べるように促せます。
これにより、消化器官への負担も軽減されます。
適度な運動を取り入れる
散歩などの適度な運動は、腸の蠕動運動を活発にし、ガスの排出をスムーズにします。
ストレス解消にもつながり、腸内環境を整える上で非常に効果的です。
食後すぐの激しい運動は胃捻転のリスクを高めるため、少し時間を空けてからにしましょう。
サプリメントを活用する
腸内の善玉菌を増やすために、犬用の乳酸菌(プロバイオティクス)やオリゴ糖(プレバイオティクス)が含まれたサプリメントを取り入れるのも良い方法です。
愛犬に合ったものを選ぶ際は、かかりつけの獣医師に相談してみることをおすすめします。
犬のおならが卵の腐った匂いの時は観察を
愛犬のおならが卵の腐った匂いがする場合の要点をまとめました。
日々の健康管理の参考にしてください。
まとめ
- 犬のおならは飲み込んだ空気と腸内ガスでできている
- 卵が腐ったような匂いの主な原因は硫化水素というガス
- 硫化水素はタンパク質が悪玉菌に分解される際に発生する
- おならの悪臭は腸内環境が悪化しているサインの可能性がある
- タンパク質の過剰摂取は匂いの原因になりやすい
- 消化しにくい原材料を含むフードも消化不良を招く
- ストレスは自律神経を乱し腸の働きを低下させることがある
- 老化によっても消化機能は衰えおならが臭くなりやすい
- リラックスしている時のおならは心配ないことが多い
- おならの異常は消化器系の病気のサインかもしれない
- 嘔吐、下痢、食欲不振など他の症状があればすぐ病院へ
- 家庭では消化の良いフードへの変更や早食い防止が有効
- 適度な運動は腸の働きを活発にしストレスを解消する
- サプリメントで腸内環境をサポートする方法もある
- 急な変化や気になる症状は自己判断せず獣医師に相談することが最も大切
今回は、犬のおならが卵の腐った匂いがする原因と、その対策について詳しく解説しました。
食事内容や腸内環境の乱れ、ストレスなど理由は様々ですが、中には病気が隠れている可能性もあります。
おならは、言葉を話せない愛犬が送る大切な健康のバロメーターです。
この記事で紹介した家庭でのケアを実践しつつ、日々の様子を注意深く観察してあげてください。
食欲不振や下痢といった他の症状を伴う場合は、決して自己判断せずに、かかりつけの獣医師に相談することが愛犬の健康を守る鍵となります。
この記事が、皆さまの不安解消の一助となれば幸いです。
