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「忠誠心が強い」とよく言われる秋田犬ですが、なぜそのように評価されているのか、具体的な理由を知りたいと思ったことはありませんか。
その背景には、古くからの歴史が深く関わっています。
この記事では、秋田犬の性格や特徴、大きさや体重といった基本情報から、気になる寿命や注意すべき病気、日々の食費や適切な散歩時間、そして大変な抜け毛のお手入れやカットの必要性まで、実際の飼いやすさという観点から詳しく解説します。
さらに、人間の子供との相性についても触れていきますので、秋田犬との暮らしを考えている方はぜひ参考にしてください。
ポイント
- 秋田犬の忠誠心の理由とその歴史的背景
- 性格や大きさなど基本的な特徴
- 日々の飼育方法と具体的な注意点
- 健康管理や家族との関わり方
秋田犬の忠誠心が強いのはなぜ?基本的な特徴を解説
- なぜ忠誠心が強いと言われるのか
- 忠誠心の背景にある秋田犬の歴史
- 秋田犬の性格とその他の特徴
- 秋田犬の大きさや平均体重
- かかりやすい病気と平均寿命
- 人間の子供との相性は良い?
なぜ忠誠心が強いと言われるのか

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秋田犬の忠誠心が語られるとき、必ずと言っていいほど「忠犬ハチ公」の物語が引き合いに出されます。
東京帝国大学(現在の東京大学)の教授であった上野英三郎氏に飼われていたハチは、毎日、主人の送り迎えのために渋谷駅へ通っていました。
しかし1925年、上野教授が大学で急逝。
それ以降もハチは、雨の日も雪の日も、約10年間にわたって主人の帰りを渋谷駅で待ち続けたのです。
この一途な姿が新聞で報じられると、日本中に大きな感動を呼び、秋田犬の持つ一途で深い愛情を象徴するエピソードとして世界中に知られるようになりました。
このような秋田犬の性質は、彼らがもともと猟師と共に厳しい自然の中でクマやシカなどを狩る「マタギ犬」であったことに由来します。
主人と一心同体でなければ自らの命も危険にさらされる過酷な環境が、飼い主の指示を冷静に聞き、信頼関係を何よりも重んじるという気質を育みました。
彼らにとって飼い主は、単なる庇護者ではなく、共に生きるための絶対的なリーダーなのです。
そのため、心を許した相手は一人だけという「ワンオーナードッグ」としての性質が強く、飼い主以外の人からの指示を聞かなかったり、食べ物を受け取らなかったりすることも珍しくありません。
この性質は、秋田犬がただ甘えるだけでなく、家族を守るべき存在と認識し、いざという時には非常に頼もしい番犬としての役割も果たしてくれることにつながります。
忠誠心の源泉
秋田犬の忠誠心は、飼い主と深い絆を築き、家族を守ろうとする狩猟犬としてのルーツに根差しています。
信頼した相手にのみ心を開き、生涯をかけて尽くす、まさにワンオーナードッグと言えるでしょう。
忠誠心の背景にある秋田犬の歴史
秋田犬が持つ独特の気質を理解するためには、その波乱に満ちた歴史を知ることが不可欠です。
マタギ犬から闘犬へ
秋田犬の祖先は、秋田県や東北地方の山岳地帯で、猟師(マタギ)と共にクマやシカを狩っていた「マタギ犬(秋田マタギ犬)」と呼ばれる中型の狩猟犬でした。
江戸時代、秋田藩主であった佐竹氏が家臣の士気を高めるために闘犬を奨励したことから、マタギ犬はより大きく強い犬へと改良されることになります。
この時期に、土佐犬や外来のマスティフなどと交配が進められ、秋田犬は大型化への道を歩み始めました。
純血種の危機と保存活動
明治時代に入っても闘犬人気は続き、さらなる大型化・強力化を求めてグレート・デーンなどの洋犬との交配が盛んに行われました。
その結果、本来の日本犬らしい姿が失われ、雑種化が深刻な問題となります。
この状況を憂慮した当時の大館町長であった泉屋茂助氏ら有識者たちによって、大正時代から昭和初期にかけて純粋な秋田犬を保存しようという運動が活発化しました。
この活動の中心となったのが1927年に設立された「秋田犬保存会」です。彼らの尽力により、雑化してしまった犬からマタギ犬の血を色濃く引く犬を選び出し、繁殖と改良を重ねました。
その結果、1931年に9頭の優秀な犬が、日本犬としては初めて国の天然記念物に指定されるという快挙を成し遂げました。
(参照:公益社団法人 秋田犬保存会)
戦争による受難と復活
しかし、第二次世界大戦が始まると、秋田犬は最大の危機を迎えます。
軍用の防寒衣料として毛皮を供給するため、軍用犬であったジャーマン・シェパード以外の犬は供出が命じられたのです。
多くの秋田犬がこの犠牲となりましたが、一部の愛好家はシェパードと交配させて「軍用犬」として登録したり、マタギのいる山奥へ犬を避難させたりと、必死の努力でその血統を守り抜きました。
終戦時、純粋な秋田犬はわずか20頭足らずしか残っていなかったと言われています。
しかし、その貴重な犬たちを基礎として、戦後の復興と共に繁殖が進められ、現在の威厳ある姿を取り戻したのです。
世界へ羽ばたいた秋田犬
秋田犬が世界的に知られるきっかけは、忠犬ハチ公だけでなく、1937年に来日したヘレン・ケラーに「神風号」が贈られたことも大きいです。
また、戦後、進駐軍のアメリカ兵たちが多くの秋田犬を本国へ持ち帰り、現地で独自に改良された犬は「アメリカン・アキタ」という別の犬種として人気を博しています。
秋田犬の性格とその他の特徴

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忠誠心の強さが際立つ秋田犬ですが、他にもいくつかの特徴的な性格を持っています。
秋田犬との暮らしを考える上では、これらのメリット・デメリットの両側面を深く理解しておくことが非常に重要です。
秋田犬の優れた性質(メリット)
- 我慢強く、冷静沈着:非常に忍耐力があり、些細なことでは動じない落ち着きを持っています。痛みにも強いとされ、猟犬としてのタフな気質を受け継いでいます。
- 非常に賢く、学習能力が高い:飼い主の言葉や状況をよく理解し、一度覚えたことは忘れません。信頼関係が築ければ、飼い主の意図を汲んで自ら行動することもあるほどです。
- 家族を守る番犬としての意識:警戒心が強く、家族や縄張りを守ろうとする意識が非常に高いです。不審者に対しては毅然とした態度をとるため、非常に頼もしい番犬となります。
- 無駄吠えが少ない:冷静沈着な性格から、むやみやたらに吠え立てることは少ない傾向にあります。必要な時にだけ吠えるため、その声は信頼できるサインと言えます。
注意が必要な性質(デメリット)
- 独立心が強く、頑固:飼い主にべったりと甘えるタイプではなく、自分のペースを大切にします。賢い分、自分が納得できない命令には従わない頑固な面も持ち合わせており、しつけには一貫性と根気強さが絶対的に求められます。
- 強い警戒心と排他性:家族以外の人や他の動物、特に他の犬に対しては強い警戒心を示し、友好的に接することが難しい場合があります。子犬の頃からの社会化トレーニングを怠ると、深刻なトラブルに発展する可能性があります。
- 支配性が強い傾向:リーダーとして認められていない相手に対しては、自分が優位に立とうとする支配的な行動をとることがあります。家族内での順位を明確にし、飼い主が常にリーダーであることを示す必要があります。
秋田犬は、飼い主との間に絶対的な信頼関係を築けるかどうかが、幸せに暮らすための最大の鍵となります。
その要求は厳しいですが、応えられた時の喜びは計り知れません。
秋田犬の大きさや平均体重
秋田犬は、日本の在来犬種の中で唯一の大型犬に分類されます。
がっしりとした骨格と全身を覆う豊かな筋肉が特徴で、その堂々とした体格は海外の愛好家からも高く評価されています。
参考までに、代表的な日本犬である柴犬と比較してみましょう。
| 犬種 | 分類 | 平均体高 | 平均体重 |
|---|---|---|---|
| 秋田犬 | 大型犬 | 約60cm~70cm | 約38kg~45kg |
| 柴犬 | 小型犬(本来は中型) | 約35cm~40cm | 約8kg~10kg |
上の表からも分かる通り、柴犬と比べると体高・体重ともに圧倒的な差があります。
スタンダードとされる大きさの詳細は以下の通りです。
性別による体格差
| 性別 | 体高(地面から背中までの高さ) | 体重 |
|---|---|---|
| オス | 64cm~70cm | 約45kg前後(中には50kgを超える個体も) |
| メス | 58cm~64cm | 約38kg前後 |
このように、オスの方が一回り大きく成長する傾向があります。
太い首と幅広い腰、そして力強く巻き上がった太い尻尾が、秋田犬の威厳ある姿を形作っています。
子犬の頃は愛らしい姿ですが、1年ほどで成犬とほぼ同じ大きさにまで急成長するため、成長を見越した環境準備が不可欠です。
かかりやすい病気と平均寿命

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秋田犬の平均寿命は10歳~13歳とされており、大型犬としては平均的な部類に入ります。
日々の健康管理をしっかり行うことで、健やかな時間を長く共に過ごすことができます。
ただし、遺伝的な素因や体の構造から、秋田犬がかかりやすいとされる病気もいくつか存在します。
飼い主として、これらの病気の知識を持ち、日頃から愛犬の様子を注意深く観察することが大切です。
特に注意したい主な病気
- 股関節形成不全:大型犬に多く見られる遺伝性の関節疾患です。腰を振るように歩く、散歩を嫌がる、段差を避けるといった症状が見られます。肥満は関節に大きな負担をかけるため、体重管理が非常に重要です。また、滑りやすいフローリングの床は症状を悪化させる原因になるため、カーペットを敷くなどの対策が推奨されます。
- 胃捻転(胃拡張・胃捻転症候群):食後すぐの激しい運動などが引き金となり、胃がガスで膨れ上がり、ねじれてしまう病気です。発症すると数時間で命を落とすこともある、緊急性の高い疾患です。吐こうとしても吐けない、よだれを大量に垂らす、お腹が膨らむ、落ち着きがなくなるといった初期症状を見逃さないことが重要です。予防策として、食事は1日2回以上に分け、食後は最低でも1〜2時間は安静にさせましょう。
- ブドウ膜皮膚症候群(フォークト・小柳・原田病様症候群):自身のメラニン細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患の一種です。目のブドウ膜と皮膚に炎症が起こり、初期には目が赤くなる、光を眩しがるなどの症状が見られ、進行すると失明に至ることもあります。また、鼻や唇、肉球の色素が抜けるといった皮膚症状も特徴です。
- 進行性網膜萎縮症(PRA):網膜が徐々に機能しなくなる遺伝性の眼病で、最終的には失明に至ります。初期症状として夜盲(暗い場所で見えにくくなる)が見られます。
- 皮膚疾患:密集したダブルコートの被毛のため、皮膚が蒸れてしまいやすく、細菌性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎などを起こしやすい傾向があります。こまめなブラッシングで通気性を良くし、皮膚を清潔に保つことが予防につながります。
シニア期のケア
秋田犬も8歳頃を過ぎるとシニア期に入ります。
関節の衰えや筋力低下が見られるようになるため、散歩の時間を短くしたり、段差のないコースを選んだりと、体に負担の少ない運動を心がけましょう。
食事も消化が良く、シニア犬用に栄養バランスが調整されたものに切り替えるのがおすすめです。
年齢と共に体温調節機能も衰えるため、夏場の温度管理や冬場の防寒対策はより一層注意が必要です。
人間の子供との相性は良い?
秋田犬と人間の子供との相性については、「飼い主の徹底した管理と教育」が大前提となり、一概に「良い」とも「悪い」とも断言はできません。
基本的には、一度家族と認めた相手には深い愛情を注ぎ、守ろうとする温和な性格をしています。
しかし、忘れてはならないのが、秋田犬が持つ強い警戒心と我慢強さ、そしてその大きな体と力です。
潜在的なリスクと注意点
子供は犬の扱いに慣れておらず、悪気なく犬が嫌がることをしてしまう可能性があります。
例えば、寝ているところを急に触ったり、耳や尻尾を強く引っ張ったり、突然甲高い声を出したりすると、秋田犬は驚いて防衛的な行動をとってしまうかもしれません。
我慢強い性格ゆえに、嫌なことをされてもギリギリまで耐えてしまい、限界を超えたときに、警告なしに噛みつくといった深刻な事故につながることも考えられます。
また、じゃれているだけのつもりでも、大型犬である秋田犬が子供に飛びついただけで、転倒させて怪我をさせてしまう危険性もあります。
子どもと接する際の絶対的なルール
- 秋田犬と子供だけにする時間は絶対に作らない:必ず大人が監督できる環境下に置いてください。
- 子供に「犬への正しい接し方」を徹底して教える:「犬が嫌がるときは触らない」「食事中や睡眠中は邪魔しない」「優しく撫でる」といったルールを繰り返し教え込む必要があります。
- 犬に「子供は自分より上の存在」だと認識させる:飼い主である大人が毅然とした態度で犬をコントロールし、家族内での序列を明確にすることが重要です。
正しい関係性を築くことができれば、子供にとって最高の遊び相手であり、頼もしい守護者のような存在になってくれるでしょう。
しかし、その関係は自然に生まれるものではなく、飼い主が多大な努力を払って築き上げるものであることを心に留めておく必要があります。
忠誠心が強い秋田犬との暮らし方と注意点

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- 実際の飼いやすさはどうなのか
- 毎日の適切な散歩時間
- 月々にかかる大まかな食費
- 大量の抜け毛とカットの必要性
実際の飼いやすさはどうなのか
ここまで秋田犬の魅力について解説してきましたが、実際の「飼いやすさ」という点では、残念ながら決して初心者向けの犬種ではないと断言できます。
その理由は、秋田犬が持つ複数の特性が、現代の日本の住環境やライフスタイルにおいて、飼い主に高いレベルの知識、技術、そして覚悟を要求するためです。
初心者には難しいとされる理由
- 圧倒的な力の強さ:成犬になると40kgを超える大型犬であり、その力は成人男性でもコントロールが難しいほどです。散歩中の引っ張りや、興奮した際の制止には相当な体力が求められます。
- しつけの難易度の高さ:賢い反面、非常に頑固で独立心が強いため、飼い主との間に絶対的な主従関係と信頼関係が築けていないと、指示を聞かなくなります。甘やかしや一貫性のない態度は、問題行動に直結します。
- 多くの運動量の確保:毎日1〜2時間の散歩は最低限必要であり、体力的な負担はもちろん、時間的な拘束も大きくなります。
- 社会化の重要性と難しさ:警戒心が強いため、子犬期に多種多様な人、犬、環境に慣れさせる「社会化トレーニング」が不可欠です。これを怠ると、他の犬や人に対して過度に攻撃的になる可能性があります。
- 生涯かかる費用:大型犬であるため、食費、医療費、ペット用品など、全ての面で小型犬とは比較にならないほどの費用がかかります。
特定犬種への指定
その大きさや力の強さから、一部の自治体では秋田犬を「特定犬種」に指定している場合があります。
特定犬種に指定されていると、飼育の際に自治体への届け出が必要になったり、「檻の中での飼育」が義務付けられたり、飼育に関する厳しい規定が設けられていることがあります。
お迎えする前に、必ずお住まいの自治体の動物愛護条例などを確認してください。
秋田犬を家族に迎えるには、その特性を深く理解し、生涯にわたって十分な時間、体力、経済力、そして何より愛情と責任をもって向き合うという強い覚悟が求められます。
しかし、その厳しい要求に応えることができれば、他のかけがえのない深い絆で結ばれた、生涯のパートナーとなってくれるでしょう。
毎日の適切な散歩時間

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狩猟犬としてのルーツを持つ秋田犬は、有り余るほどの体力とスタミナを持っています。
そのため、日々の運動は彼らの心身の健康を維持するために絶対に欠かせません。
運動不足はストレスの最大の原因となり、無駄吠えや破壊行動といった問題行動につながる可能性があります。
散歩の量と質
散歩の目安としては、1日に2回、それぞれ最低でも30分~1時間程度が理想です。
年齢や健康状態に合わせて調整は必要ですが、成犬であれば合計で2時間近くの運動時間を確保してあげたいところです。
重要なのは、ただ歩くだけでなく「散歩の質」も高めることです。
いつも同じ単調なコースを歩くだけでなく、時には公園の土や草の匂いを存分に嗅がせてあげたり、少し遠出して初めての道を歩いたりすることで、犬の知的好奇心を満たし、精神的な満足感を与えることができます。
散歩以外の運動
散歩に加えて、ドッグランのような安全な場所で思い切り走らせる時間を作ることも非常に効果的です。
ただし、前述の通り、秋田犬は他の犬に対して友好的でない場合も多いため、他の利用者が少ない時間帯を選んだり、貸し切りで利用したりするなどの配慮が必要です。
他の犬との相性をよく見極め、決して目を離さないようにしましょう。
また、家の中では知育トイを使って頭を使わせる遊びを取り入れるのも、エネルギーを発散させる良い方法です。
特に夏場の散歩には最大限の注意が必要です。
秋田犬は寒さには強いですが暑さには非常に弱い犬種です。熱中症は命に関わりますので、夏場は気温が上がる日中を避け、日が昇る前の早朝や、日が落ちてアスファルトの熱が冷めた夜間に散歩を行いましょう。
クールベストなどのグッズを活用するのもおすすめです。
月々にかかる大まかな食費
秋田犬は大型犬であり、その大きな体を維持するために多くの栄養を必要とします。
そのため、食費は小型犬や中型犬に比べて高額になる傾向があり、飼育を検討する上で重要な要素となります。
具体的な費用
ドッグフードの種類やグレードによって大きく変動しますが、一般的な目安として、月に5,000円から10,000円前後の食費がかかると考えておくと良いでしょう。
関節の健康をサポートするグルコサミンやコンドロイチンが含まれたフードや、良質な動物性タンパク質を主原料とするアレルギー対応のプレミアムフードなどを選ぶと、月々の費用は15,000円以上になることもあります。
生涯コストの視点
食費だけでなく、犬を飼うには様々な費用がかかります。
特に大型犬である秋田犬は、あらゆる面でコストが高くなります。
秋田犬の飼育にかかる費用(目安)
- 初期費用:生体価格(20万円前後~)、畜犬登録・ワクチン代(約1万円~)、ケージ・食器・トイレ等の飼育グッズ(数万円)
- 月々の費用:食費(5,000円~15,000円)、おやつ・消耗品(数千円~)
- 年間費用:狂犬病注射・混合ワクチン(約1万円~)、フィラリア・ノミダニ予防薬(2万円~3万円)、ペット保険(大型犬は高額。年間5万円~10万円程度)、定期健康診断
これらに加えて、病気や怪我をした際の治療費は高額になる可能性があります。
秋田犬との暮らしを始める前に、こうした生涯にわたるコストを具体的にシミュレーションしておくことが非常に重要です。
大量の抜け毛とカットの必要性

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秋田犬との暮らしで、多くの飼い主が驚くのが想像を絶する量の抜け毛です。
秋田犬の被毛は、寒さから身を守るための硬い上毛(オーバーコート)と、保温性に優れた柔らかく密生した下毛(アンダーコート)の二重構造、いわゆるダブルコートになっています。
この被毛構造のため、一年を通して毛が生え変わりますが、特に春と秋の「換毛期」には、冬毛や夏毛がごっそりと抜け落ちます。
その量は「犬がもう一匹作れる」と表現されるほどで、日々の掃除は非常に大変です。
必須となる日々のお手入れ
この大量の抜け毛と上手に付き合うためには、毎日のブラッシングが欠かせません。
ブラッシングを怠ると、抜け毛が室内に散らかるだけでなく、犬の体で毛玉になってしまい、皮膚の通気性が悪化して皮膚炎などの原因になります。スリッカーブラシで下毛を丁寧に取り除き、コームで仕上げるのが基本的な手順です。
シャンプーは月に1~2回程度が目安ですが、自宅で行うのはかなりの重労働です。
毛が密集しているため根元まで濡らすのが難しく、シャンプー後の乾燥にはさらに時間がかかります。
乾かし残しは皮膚病の原因になるため、大型犬用のドライヤーを使うか、プロのトリマーにお願いするのが安心です。
カットは基本的に不要
トリミングサロンで行うような被毛の「カット」は、特別な理由がない限り必要ありません。
秋田犬の被毛は、皮膚を紫外線や外部の刺激から守り、体温を調節するという重要な役割を担っています。
夏場に暑そうだからといって短く刈り込んでしまうと、逆に熱中症のリスクを高めたり、皮膚トラブルを招いたりする可能性があるため注意が必要です。
「むく毛」の秋田犬
稀に「むく毛」または「長毛」と呼ばれる、通常より被毛が長いタイプの秋田犬が生まれることがあります。
スタンダードからは外れますが、そのモフモフとした愛らしい姿から人気があります。
ただし、通常の秋田犬よりも毛が絡みやすく毛玉になりやすいため、より一層こまめなお手入れが必要になります。
忠誠心が強い秋田犬は最高のパートナー

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この記事では、忠誠心が強いと言われる秋田犬について、その理由から歴史、性格、そして具体的な飼い方まで詳しく解説しました。
最後に、記事の重要なポイントをまとめます。
まとめ
- 秋田犬の強い忠誠心はマタギ犬としての歴史に由来する
- 忠犬ハチ公のエピソードがその象徴として世界的に有名
- 一度心を許した飼い主や家族にのみ深い愛情を示すワンオーナードッグである
- 性格は我慢強く冷静沈着で賢いが、独立心も強く頑固な一面を持つ
- 警戒心が非常に強く、優れた番犬になる素質がある
- 日本犬で唯一の大型犬に分類され、オスは45kg前後にまで成長する
- 平均寿命は10歳から13歳で、大型犬としては平均的
- 股関節形成不全や胃捻転、皮膚疾患などの病気に注意が必要
- 人間の子供との共生には、大人の絶対的な監督と双方への教育が不可欠
- その大きさ、力、頑固さから、飼いやすさの面では決して初心者向きとは言えない
- 飼い主には強いリーダーシップ、体力、時間、経済的な余裕が求められる
- 自治体によっては「特定犬種」に指定され、飼育に特別な規定がある場合がある
- 運動量が非常に多く、毎日の散歩が心身の健康に不可欠
- 散歩は1日2回、合計1時間から2時間程度を目安に行う
- 暑さに非常に弱いため、夏場の熱中症対策は万全に行う必要がある
- ダブルコートで抜け毛が想像を絶するほど多く、特に換毛期は大変
- 皮膚の健康を保つため、毎日のブラッシングが欠かせない
- トリミングサロンで行うような被毛のカットは基本的に不要
- 厳しい要求に応える覚悟があれば、生涯忘れられない最高のパートナーとなる
秋田犬の強い忠誠心は、マタギ犬としての歴史に根差す、飼い主だけに向ける深い愛情の証です。
その魅力的な性格の一方で、頑固さや警戒心の強さから、飼い方には専門的な知識と揺るぎないリーダーシップが不可欠となります。
日々のしつけや十分な運動、そして大量の抜け毛のケアといった課題に、生涯向き合う覚悟が求められます。
この記事が、秋田犬の魅力と責任の両面を深く理解する一助となれば幸いです。
その要求に応えるのは簡単ではありませんが、唯一無二の信頼関係を築けた時、彼らは間違いなく生涯最高のパートナーとなってくれるでしょう。

