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穏やかで美しい姿が魅力のバーニーズマウンテンドッグですが、一緒に暮らす上で多くの飼い主さんが直面するのが抜け毛の問題です。
その量に驚き、「何か特別な抜け毛対策が必要なの?」と感じる方も少なくないでしょう。
実は、バーニーズマウンテンドッグの抜け毛には、その犬種特有の被毛のタイプが大きく関係しており、特に換毛期には想像以上の毛が抜けます。
この記事では、抜け毛の根本的な原因から、日々のブラッシングやシャンプーの方法、トリミングの適切な料金や頻度、そして安易に行うべきではないサマーカットの注意点まで、あらゆる角度から解説します。
さらに、時には病気のサインである可能性や、健康な被毛を維持するための栄養管理の重要性についても触れていきます。
愛犬との毎日をより快適にするためのヒントがここにあります。
ポイント
- 抜け毛の根本的な原因とメカニズム
- ブラッシングやシャンプーなど日常でできる抜け毛対策
- トリミングやサマーカットに関する専門的なケアと注意点
- 病気のサインや健康な被毛を保つための栄養管理
バーニーズマウンテンドッグの抜け毛が多い理由
- 被毛のタイプと抜け毛の関係
- 抜け毛が多い根本的な原因とは
- 特に毛が抜ける換毛期について
- 抜け毛がサインとなる病気とは
被毛のタイプと抜け毛の関係

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バーニーズマウンテンドッグの抜け毛が多い最大の理由は、彼らが持つ「ダブルコート」という特殊な被毛構造にあります。
これは、皮膚を保護する硬くて長い毛質の「オーバーコート(上毛)」と、体温を調節する役割を持つ、柔らかく密度の高い「アンダーコート(下毛)」の二層構造になっている被毛のタイプです。
原産国であるスイスの厳しい寒さに耐えるため、このような分厚い被毛が発達しました。
特に、ふわふわとしたアンダーコートが、季節の変わり目に生え変わることで体温調節を行っているため、必然的に抜け毛の量が多くなるのです。
シングルコートの犬種と比べて抜け毛が多いのは、このアンダーコートがあるかどうかが大きな違いと言えます。
豆知識:被毛が持つ大切な役割
バーニーズマウンテンドッグの豊かな被毛は、単に寒さを防ぐだけではありません。
オーバーコートは紫外線や雨、外部の刺激からデリケートな皮膚を守る鎧のような役割を果たしています。
アンダーコートは、冬は体温を逃がさない保温材として、夏は皮膚に直接熱が伝わるのを防ぐ断熱材として機能します。
このように、被毛は彼らにとって非常に重要な役割を担っているのです。
抜け毛が多い根本的な原因とは
バーニーズマウンテンドッグの抜け毛が多い根本的な原因は、前述の通り、ダブルコートの構造による「換毛(かんもう)」という自然な生理現象です。
換毛とは、犬が季節の変化に対応して体温を適切に保つために、被毛を生え変わらせる仕組みのことを指します。
人間が季節に合わせて衣替えをするのと同じようなものだと考えると分かりやすいでしょう。
例えば、春になって暖かくなると、冬の間に体を温めていた保温性の高いアンダーコートは不要になります。
そのため、ごっそりと抜け落ちて通気性の良い夏毛へと生え変わります。
逆に、秋になり涼しくなってくると、夏用の毛が抜けて、寒さに備えるための密度の高い冬毛が生えてくるのです。
この一連のサイクルは、犬が健康に過ごすために不可欠なものです。
そのため、バーニーズマウンテンドッグの抜け毛が多いのは、ある意味で健康な証拠とも言えるでしょう。
特に毛が抜ける換毛期について

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一年を通して抜け毛が多いバーニーズマウンテンドッグですが、特にその量が増加するのが、年に2回訪れる「換毛期」です。
主な時期は、春(3月~5月頃)と秋(9月~11月頃)で、この期間は数週間にわたって驚くほどの量の毛が抜けます。
飼い主さんの間では、その抜け毛の多さから「バーニーズスノー」と冗談で呼ばれることもあるほどです。
この時期は、掃除をしても追いつかないと感じるかもしれませんが、これは季節に適応するための大切なプロセスです。
換毛期にはアンダーコートが大量に抜けるため、普段よりもさらに念入りなブラッシングが必要になります。
この時期のケアを怠ると、抜けた毛が絡まって毛玉になり、皮膚トラブルの原因にもなりかねません。
換毛期の抜け毛は本当にすごいです!
ブラッシングを終えると、もう一匹バーニーズが作れそうなくらいの毛玉の山ができます。
大変ではありますが、この時期を乗り越えることで、愛犬が快適に過ごせるようになると思って、こまめなケアを心がけたいですね。
抜け毛がサインとなる病気とは
ほとんどの場合、バーニーズマウンテンドッグの抜け毛は健康的な生理現象ですが、中には病気のサインとして現れるケースもあるため注意が必要です。
通常の換毛期とは異なる、以下のような症状が見られる場合は、動物病院を受診することを検討してください。
- 体の一部分だけが集中して抜ける(円形脱毛など)
- フケ、かゆみ、湿疹、赤みなどを伴う
- 左右対称に毛が薄くなる
- 体を頻繁にかく、あるいは舐め続ける
これらの症状の背景には、アレルギー性皮膚炎やノミ・ダニの寄生、細菌感染による膿皮症といった皮膚疾患が隠れている可能性があります。
また、左右対称の脱毛が見られる場合は、甲状腺機能低下症やクッシング症候群といったホルモンの病気の可能性も考えられます。
注意:ストレスも抜け毛の原因に
環境の変化や運動不足、長時間の留守番など、精神的なストレスが原因で抜け毛が増えることもあります。
体を舐め続けたり、自分の尻尾を追いかけたりする行動が見られる場合は、ストレスのサインかもしれません。
病気だけでなく、愛犬の心の健康にも目を向けてあげることが大切です。
普段から愛犬の皮膚や被毛の状態をよく観察し、「いつもと違うな」と感じたら、自己判断せずに獣医師に相談しましょう。
バーニーズマウンテンドッグの抜け毛への正しい対策

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- 効果的な抜け毛対策と掃除のコツ
- 日々のブラッシングで抜け毛を減らす
- 正しいシャンプーで皮膚と被毛をケア
- トリミングの料金と適切な頻度
- サマーカットの注意点とリスク
- 健康な被毛を保つ栄養管理の重要性
- バーニーズマウンテンドッグの抜け毛と上手に付き合う
効果的な抜け毛対策と掃除のコツ
大量の抜け毛と上手に付き合っていくためには、日々の対策が重要になります。
抜け毛対策の基本は、「毛が床に落ちる前に取り除くこと」と「落ちてしまった毛を効率的に掃除すること」の2つです。
家中に毛が舞うのを完全に防ぐことは難しいですが、少しの工夫で快適さは大きく変わります。
以下に、効果的な対策と掃除のコツをいくつかご紹介します。
抜け毛対策と掃除のポイント
- こまめなブラッシング:最も基本的で効果的な対策です。抜けそうな毛を事前に除去します。
- ペットの毛に強い掃除機:吸引力が強く、ブラシに毛が絡まりにくいタイプの掃除機がおすすめです。
- 粘着カーペットクリーナー:布製品についた毛を手軽に取るのに便利です。
- 空気清浄機の活用:空気中に舞う毛やフケを吸着し、アレルギー対策にもなります。
- 素材を選ぶ:ソファカバーやラグなどを、毛が付きにくく掃除しやすい素材(革、合皮、目の詰まった布など)にするのも一つの方法です。
特に、家族が集まるリビングなどに空気清浄機を設置するのはおすすめです。
抜け毛だけでなく、ペットのフケやニオイも軽減する効果が期待できます。
日々のブラッシングで抜け毛を減らす

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抜け毛対策として最も重要で効果的なのが、毎日のブラッシングです。
ブラッシングには、単に抜け毛を取り除くだけでなく、以下のような多くのメリットがあります。
- 毛の絡まりを防ぎ、毛玉を予防する
- 皮膚の血行を促進し、健康な被毛の成長を助ける
- 皮膚の異常(赤み、湿疹など)を早期に発見できる
- 愛犬とのコミュニケーションの時間になる
バーニーズマウンテンドッグのようなダブルコートの犬種には、複数のブラシを使い分けるのが理想的です。
| ブラシの種類 | 特徴と役割 |
|---|---|
| スリッカーブラシ | くの字に曲がった細かいピンがたくさん付いているブラシ。毛の表面の絡まりをほぐしたり、抜け毛を除去したりするのに使います。 |
| アンダーコートレーキ | 熊手のような形状のブラシ。ダブルコートの密集したアンダーコートを効率的に取り除くのに特化しています。換毛期には特に活躍します。 |
| コーム(櫛) | 金属製の櫛で、ブラッシングの仕上げに使います。毛玉がないか最終チェックしたり、毛並みを整えたりするのに便利です。 |
ブラッシングの基本的な手順は、まずコームで毛玉がないかを確認し、次にスリッカーブラシで表面を優しくとき、最後にアンダーコートレーキで根元からしっかりと不要な下毛を取り除きます。
力を入れすぎると皮膚を傷つけてしまうので、優しく丁寧に行うことが大切です。
正しいシャンプーで皮膚と被毛をケア
定期的なシャンプーも、抜け毛対策には非常に効果的です。
ブラッシングでは取り除ききれなかった大量の死毛や、皮膚の汚れ、皮脂などを一度に洗い流すことができます。
シャンプーの適切な頻度は、月に1~2回が目安です。
特に換毛期には、このシャンプーがごっそりと抜け毛を取り除く絶好の機会となります。
ただし、シャンプーのしすぎは禁物です。
必要以上に頻繁に洗うと、皮膚を守るために必要な皮脂まで洗い流してしまい、かえって皮膚の乾燥やフケ、かゆみの原因になることがあります。
自宅でのシャンプーのコツ
バーニーズマウンテンドッグは大型犬なので、自宅でのシャンプーとドライは一苦労です。
シャンプー前には必ず全身をブラッシングして毛玉をなくし、お湯は37~38℃のぬるま湯を使いましょう。
シャンプー剤のすすぎ残しは皮膚トラブルの原因になるため、時間をかけて念入りに洗い流してください。
そして最も重要なのが、シャンプー後の乾燥です。
タオルドライの後、大型犬用のドライヤーなどを使って、被毛の根元から完全に乾かしましょう。
生乾きは雑菌が繁殖する原因になります。
トリミングの料金と適切な頻度

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自宅でのシャンプーやお手入れが難しいと感じる場合は、プロのトリマーがいるトリミングサロンを利用するのも賢い選択です。
バーニーズマウンテンドッグの場合、全身をカットする犬種ではないため、基本的にはシャンプーコースを利用することになります。
コースには、爪切り、耳掃除、肛門腺絞り、足裏の毛のカットなどが含まれていることが多く、全身のトータルケアをしてもらえます。
利用する頻度は、月に1回程度が一般的です。
料金はサロンや地域によって異なりますが、大型犬であるため、以下がひとつの目安となります。
| コース | 料金の目安 | 主なサービス内容 |
|---|---|---|
| シャンプーコース | ¥11,000 ~ ¥20,000 程度 | シャンプー、リンス、ドライ、爪切り、耳掃除、肛門腺絞り、足裏バリカンなど |
| カットコース | ¥15,000 ~ ¥28,000 程度 | シャンプーコースの内容に加え、全身または部分的なカット |
プロにお願いすることで、自宅では難しいドライングを完璧に行ってもらえたり、抜け毛を専用の道具で徹底的に除去してもらえたりするメリットがあります。
定期的なサロンの利用は、飼い主さんの負担軽減にも繋がります。
サマーカットの注意点とリスク
夏になると、暑さ対策として愛犬の毛を短く刈る「サマーカット」を検討する飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、バーニーズマウンテンドッグのようなダブルコートの犬種にとって、サマーカットは多くのリスクを伴うため、基本的には推奨されません。
前述の通り、彼らの被毛には、強い日差しや紫外線から皮膚を守るという重要な役割があります。
毛を短く刈りすぎると、デリケートな皮膚が直射日光にさらされ、日焼けや皮膚炎、さらには熱中症のリスクを高めてしまう可能性があります。
サマーカットの具体的なデメリット
- 皮膚トラブルのリスク:紫外線や虫、外部の刺激を直接受けやすくなる。
- 毛質の変化:一度バリカンで短く刈ると、次に生えてくる毛が硬くなったり、色が薄くなったりすることがある。
- 毛刈り後脱毛:バリカンによる刺激などが原因で、毛が元通りに生えてこなくなることがある。
- 体温調節機能の低下:本来、被毛が持つ断熱効果が失われ、かえって体温調節が難しくなる。
もし、どうしても衛生面などで毛を短くしたい場合は、バリカンで短く刈り込むのではなく、ハサミで長さを整える程度に留めてもらうようトリマーさんに相談しましょう。
健康な被毛を保つ栄養管理の重要性

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美しく健康な被毛を育むためには、外側からのケアだけでなく、内側からのケア、つまり栄養管理が非常に重要です。
被毛の主成分は「ケラチン」というタンパク質です。
そのため、食事に含まれる良質な動物性タンパク質は、丈夫な被毛を作るための基礎となります。
また、皮膚の健康を維持し、毛艶を良くするためには、必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸も欠かせません。
これらの栄養素は、総合栄養食のドッグフードであればバランス良く含まれていますが、特に皮膚や被毛の健康に配慮したフードを選ぶのも良いでしょう。
例えば、サーモンオイルや亜麻仁油などが含まれているフードには、オメガ3脂肪酸が豊富に含まれているという情報があります。
愛犬の毛並みが少しパサついているなと感じた時は、食事内容を見直してみるのも一つの手です。
ただし、サプリメントなどを与える場合は、必ずかかりつけの獣医師に相談してからにしましょう。
過剰な栄養摂取は、かえって健康を損なうこともありますからね。
適切な食事と十分な水分補給は、健康な皮膚と美しい被毛を維持するための基本です。
(参照:アニコム 家庭どうぶつ白書)
バーニーズマウンテンドッグの抜け毛と上手に付き合う

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まとめ
- バーニーズマウンテンドッグはダブルコートで抜け毛が多い犬種
- 抜け毛は季節に適応するための自然で健康的な生理現象
- 特に春と秋の換毛期には驚くほどの毛が抜ける
- 部分的な脱毛や皮膚の異常は病気のサインかもしれない
- 最も効果的な対策は毎日のこまめなブラッシング
- スリッカーブラシやアンダーコートレーキなどを使い分けるのが理想
- 月に1~2回のシャンプーで抜け毛をごっそり洗い流せる
- シャンプーのしすぎは皮膚の乾燥を招くため注意が必要
- 自宅でのケアが大変な場合はトリミングサロンの利用も有効
- サロンの利用頻度は月に1回程度が目安
- 暑さ対策のサマーカットは多くのリスクがあり推奨されない
- 被毛には紫外線などから皮膚を守る大切な役割がある
- 夏場の暑さ対策はカットよりも室温管理やクールグッズが重要
- 健康な被毛を維持するためにはバランスの取れた栄養管理が不可欠
- 抜け毛を完全に無くすことはできないと理解し寛容に受け入れることも大切
バーニーズマウンテンドッグの抜け毛は確かに大変ですが、その原因であるダブルコートの特性や換毛期の仕組みを理解することが第一歩です。
この記事で解説した毎日のブラッシングや適切なシャンプー、栄養管理を実践することで、抜け毛はかなりコントロールできます。
また、サマーカットのリスクを知り、正しい知識で愛犬の健康を守ることも重要です。
大変な抜け毛のケアも、愛犬との大切なコミュニケーションの時間と捉え、深い絆を育むきっかけにしてください。
この記事が、あなたの愛犬との快適で豊かな毎日の一助となれば幸いです。


