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「犬を外で飼うのはかわいそうなのでは?」と感じて、検索されたのではないでしょうか。
たしかに、世間では外飼いは虐待ではないかという空気感があり、現状の基本は室内飼いという考え方が主流です。
その背景には、外飼いに伴う様々なリスクへの懸念があります。
例えば、鳴き声などが原因のご近所トラブルや、動物愛護に関する法律の問題。さらには、過酷な暑さや寒さ、病気や虫・ダニによる健康被害で寿命が縮む可能性も指摘されています。
また、予期せぬ事故や脱走、孤独からくるストレスなど、犬にとって多くの危険があるのも事実です。
しかし、外飼いが一概に悪いわけではありません。
飼い主が犬の安全な環境を整えること、そして、特に気候対策が重要である点を理解し、適切な配慮と手間をかけることができれば、犬にとって快適な暮らしを提供することも可能です。
この記事では、外飼いが「かわいそう」と言われる理由を一つひとつ解説し、そのうえで飼い主として何をすべきかを具体的に掘り下げていきます。
ポイント
- 「外飼いの犬がかわいそう」と言われる具体的な理由
- 外飼いに伴う健康、安全、精神面でのリスク
- 外飼いをする際に飼い主が整えるべき環境と対策
- 愛犬を「かわいそう」とさせないための飼い主の心構え
外飼いされている犬がかわいそうと言われる背景

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- 世間にある外飼いは虐待という空気感
- 現状の基本は室内飼いという考え方
- ご近所トラブルと法律による規制
- 外飼いで犬の寿命が縮むという懸念
- 犬が感じるストレスと精神的な負担
世間にある外飼いは虐待という空気感
かつて犬は「番犬」として家の外で飼うのが当たり前、という時代がありました。
しかし、現代ではその価値観が大きく変化しています。犬は「ペット」から「家族の一員」へと存在が変わり、多くの人が室内で共に暮らすことを選ぶようになりました。
このような社会的な意識の変化に伴い、動物福祉の考え方も広く浸透しました。
その結果、犬を外に繋ぎっぱなしにすることや、厳しい気候に晒すことが「虐待にあたるのではないか」という空気感が生まれています。
特に、猛暑や厳寒の中で犬が外にいる姿を見ると、多くの人が「かわいそう」と感じるのは、ごく自然な感情と言えるでしょう。
昔は番犬が主な役割でしたが、今は防犯カメラなど技術の進歩もあり、犬にその役目を負わせる必要性が低下したことも、室内飼いが主流になった一因ですね。
もちろん、全ての外飼いが虐待というわけではありません。
しかし、世間の目が厳しくなっていることは事実であり、外飼いを選ぶ際には、こうした社会的な認識を理解しておく必要があります。
現状の基本は室内飼いという考え方

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近年のペットに関する調査データを見ると、犬の飼育場所は室内が圧倒的多数を占めているのが現状です。
一般社団法人ペットフード協会が2022年に行った調査によると、主な飼育場所が屋外の犬の割合は、わずか5.5%でした。
これは、飼育されている犬の9割以上が室内で暮らしていることを示しています。
この背景には、いくつかの要因が考えられます。
住環境の変化
まず、マンションやアパートといった集合住宅に住む人が増えたことが挙げられます。
集合住宅では規約上、外飼いが不可能なケースがほとんどです。
また、戸建てであっても、都市部では十分な庭のスペースを確保することが難しくなっています。
人気犬種の変化
昭和の終わり頃から、テレビCMなどの影響で小型犬の人気が高まりました。
チワワやトイプードルのような小型犬は、体の大きさや性質から室内での飼育が基本となります。
このように、室内で飼いやすい犬種が主流になったことも、室内飼いを後押しする大きな要因です。
これらの理由から、「犬は家の中で家族と一緒に暮らすもの」というのが、現代における飼育の基本的な考え方として定着しているのです。
ご近所トラブルと法律による規制
外飼いをする上で、避けては通れないのがご近所との関係です。
犬が家の外にいることで、意図せずトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。
外飼いで起こりうる主なトラブル
- 騒音問題:家の前を通る人や車に反応して吠え続けることによる騒音。
- 衛生問題:排泄物の臭いや、風で飛散する抜け毛。
- 安全性の懸念:万が一脱走した場合の恐怖感や、敷地内に手を入れて噛まれるなどの事故。
こうしたトラブルだけでなく、飼い主は法律による規制も遵守する必要があります。
日本の「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」では、飼い主にはペットを適切に飼育する責任があると定められています。
不適切な飼育環境は、この法律に抵触し、指導や罰則の対象となる可能性もあるのです。
さらに、外で犬を飼う場合は、狂犬病予防法に基づく年1回の予防接種が法律で義務付けられています。
これは、人の公衆衛生を守る上で非常に重要なルールです。
狂犬病は、発症すると治療法がなく、ほぼ100%死亡する恐ろしい感染症です。
日本では長年発生がありませんが、世界では今なお多くの死者が出ています。
愛犬と社会を守るため、予防接種は必ず受けさせましょう。
外で飼うという選択は、こうした社会的な責任を常に意識する必要があると言えます。
外飼いで犬の寿命が縮むという懸念
外飼いが犬の健康に与える影響として、最も深刻なものの一つが「寿命」に関する懸念です。
様々なデータや専門家の意見から、外で飼われている犬は室内飼いの犬に比べて平均寿命が2~3年ほど短い傾向があると言われています。
なぜ、寿命に差が出てしまうのでしょうか。主な理由は、外の過酷な環境が犬の心身に大きな負担をかけるためです。
寿命を縮める主な要因
- 環境ストレス:夏の暑さや冬の寒さ、雨風、騒音などを直接受けることで、常に身体的なストレスに晒されます。
- 病気のリスク:寄生虫や感染症に接触する機会が多く、病気にかかるリスクが高まります。
- 変化への気づきにくさ:一緒に過ごす時間が少ないため、飼い主が体調の異変に気づきにくく、病気の発見が遅れがちになります。
50年ほど前の犬の平均寿命は4~5年でしたが、現在では15歳近くまで延びています。
この背景には、ペットフードの質の向上や獣医療の進歩と共に、「室内飼いの普及」が大きく貢献していると考えられています。
愛犬に一日でも長く、健康でいてほしいと願うのであれば、この寿命に関する事実は重く受け止めるべきでしょう。
犬が感じるストレスと精神的な負担

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外飼いが犬に与える影響は、身体的なものだけではありません。
精神的なストレスや孤独感も、見過ごすことのできない大きな問題です。
犬は元来、群れで生活する社会的な動物であり、飼い主やその家族を「群れの仲間」と認識しています。
そのため、家族が集う家の中から隔離され、一人で過ごす時間が長くなる外飼いは、犬にとって大きな寂しさや孤独感につながります。
また、外の環境は犬にとって刺激が多すぎることがあります。
- 通行人や他の動物の気配
- 車の走行音や工事の騒音
- 雷や強風などの天候の変化
これらの刺激に対して常に警戒を強いられるため、心身が休まらず、ストレスが蓄積しやすい状態になります。
こうした慢性的なストレスは、吠え癖や攻撃行動といった問題行動の原因になるだけでなく、免疫力の低下を招き、様々な病気を引き起こす可能性も指摘されています。
飼い主とのコミュニケーション不足も深刻です。
一緒にいる時間が少ないと、愛犬の些細な変化に気づけません。
それは犬にとっても「自分は大切にされていない」と感じる原因になり得ます。
犬の幸せを考える上で、こうした精神的なケアがいかに重要か、理解しておくことが大切です。
「外飼いされている犬がかわいそう」で終わらせないために

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- 事故や脱走を防ぐ具体的な対策
- 病気や虫・ダニから愛犬を守る
- 過酷な暑さ・寒さから守る必要性
- 安全な環境を整えるという飼い主の責任
- 気候対策は特に重要視すべきポイント
- 「外飼いされている犬はかわいそう」とさせない飼い主の気づかい
事故や脱走を防ぐ具体的な対策
外飼いには、常に事故や脱走のリスクが伴います。
飼い主の目の届きにくい場所にいる時間が長いため、万が一の事態に備えた徹底的な対策が不可欠です。
最も多いのが、雷などの大きな音に驚いて首輪が抜けたり、リードが切れたりして脱走してしまうケースです。
脱走した犬は、交通事故に遭う、他人や他の犬を傷つけてしまう、そのまま迷子になってしまうなど、命に関わる危険に直面します。
また、悪意を持った第三者によるいたずらや盗難、毒物を与えられるといった事件に巻き込まれる可能性もゼロではありません。
事故・脱走を防ぐための必須対策
- 首輪とリードの定期点検:経年劣化で強度が落ちていないか、サイズは合っているかを常に確認しましょう。
- 二重の対策:首輪が抜けても大丈夫なように、胴輪(ハーネス)も併用するとより安全です。
- 敷地の管理:庭で放す場合は、犬が飛び越えられない高さの頑丈な柵を設置し、隙間や破損がないか定期的にチェックします。
- 迷子札とマイクロチップ:万が一脱走してしまった場合に備え、連絡先を記した迷子札と、個体識別ができるマイクロチップの装着は必ず行いましょう。
これらの対策は、「これくらいで大丈夫だろう」という油断が最も危険です。
愛犬の命を守るため、考えられる限りの備えを講じることが、外飼いを選ぶ飼い主の最低限の責任です。
病気や虫・ダニから愛犬を守る

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屋外は、室内と比べて様々な病原体や寄生虫に接触するリスクが格段に高まります。
特に、ノミ、マダニ、そして蚊には細心の注意が必要です。
ノミやマダニは、激しいかゆみや皮膚炎を引き起こすだけでなく、貧血やアレルギー、さらには命に関わる重篤な感染症(バベシア症、SFTSなど)を媒介することがあります。
また、蚊が媒介するフィラリア症(犬糸状虫症)は、心臓や肺に寄生虫が住み着くことで、最終的に死に至る恐ろしい病気です。
これらの寄生虫から愛犬を守るためには、動物病院で処方される予防薬の定期的・継続的な投与が絶対に不可欠です。
市販の虫除けグッズもありますが、効果が限定的であったり、犬にとって有害な成分が含まれていたりすることもあります。
必ず獣医師に相談し、適切な予防薬を選んでもらうようにしてくださいね。
加えて、不衛生な環境は皮膚病やその他の感染症の原因となります。
犬小屋やその周辺は常に清潔に保ち、排泄物は速やかに処理することを心がけましょう。
定期的なシャンプーやブラッシングで体を清潔に保ちながら、皮膚に異常がないかチェックする習慣も大切です。
過酷な暑さ・寒さから守る必要性
日本の夏と冬の気候は、外で過ごす犬にとって非常に過酷です。
人間とは体の構造が違うため、犬は人間以上に暑さや寒さに弱いということを、飼い主は深く理解しておく必要があります。
夏の危険:熱中症
犬は汗をかくための汗腺が足の裏などごく一部にしかなく、主にパンティング(舌を出してハッハッと呼吸する)によって体温を調節します。
しかし、日本の夏のような高温多湿の環境下では、この体温調節機能が追いつかず、簡単に熱中症になってしまいます。
熱中症は進行が早く、重症化すると命を落とす非常に危険な状態です。
冬の危険:低体温症
逆に冬は、寒さによる低体温症や凍傷のリスクがあります。
特に、体力の落ちた老犬や子犬、寒さに弱い犬種は注意が必要です。
体が冷え切ってしまうと、命の維持に不可欠な体の機能が低下してしまいます。
外飼いをする上での季節ごとの対策を以下の表にまとめました。
| 季節 | 主な危険 | 必須の対策 |
|---|---|---|
| 夏 | 熱中症、脱水症状、アスファルトによる火傷 | ・犬小屋を常に日陰になる涼しい場所に設置 ・いつでも新鮮な水が飲めるようにする(複数設置が望ましい) ・すのこを敷く、冷却マットを利用するなど地面からの熱を遮断 ・日中の気温が特に高い日は室内や玄関に入れる |
| 冬 | 低体温症、凍傷、循環器系への負担 | ・犬小屋を北風が当たらない場所に設置 ・出入り口にカーテンなどをつけ、隙間風を防ぐ ・毛布や湯たんぽ、ペット用ヒーターなどで保温 ・飲み水が凍結しないように注意する ・特に冷え込む夜間や悪天候の日は室内に入れる |
「この犬種は暑さ(寒さ)に強いから大丈夫」という思い込みは絶対に禁物です。
近年の異常気象を考慮し、臨機応変に愛犬を安全な場所へ避難させることが飼い主の義務と言えるでしょう。
安全な環境を整えるという飼い主の責任

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外飼いをすると決めたなら、それは「ただ外に繋いでおけばよい」ということでは決してありません。
犬が心身ともに健康で、安全に過ごせる環境を飼い主が責任を持って整える必要があります。
まず、犬が安心して休息できる場所、つまり「犬小屋」の設置は必須です。
犬小屋選びと設置のポイント
- サイズ:犬が中で方向転換でき、楽に伏せができる程度の広さが必要です。広すぎると冬に体温で暖まりにくくなります。
- 素材:耐久性があり、断熱性や防水性に優れたものを選びましょう。木製やプラスチック製が一般的です。
- 構造:雨風や直射日光をしっかりと防げる屋根付きのものを選びます。床が地面に直接触れないよう、少し高さのある構造が衛生的です。
- 設置場所:夏の直射日光や西日、冬の北風を避けられる、静かで落ち着ける場所を選んであげましょう。
次に、水飲み場とトイレのスペースです。
新鮮な水は、犬がいつでも好きな時に飲めるように、清潔な容器で常に用意しておく必要があります。
夏場は水がすぐにお湯になってしまうため、こまめな交換が欠かせません。
トイレの場所も決めておき、排泄物は放置せず、速やかに片付けて常に清潔な環境を保つことが大切です。
最後に、繋いでおく場合のリードです。
犬がストレスを感じないよう、体長の3倍程度の長さを確保することが推奨されています。
ただし、長すぎると柵に絡まったり、道路に飛び出してしまったりする危険もあるため、敷地の広さに合わせて適切に調節してください。
気候対策は特に重要視すべきポイント
前述の通り、日本の四季の変化、特に近年の夏の猛暑と冬の厳しい寒さは、外で暮らす犬にとって命に関わる脅威となります。
そのため、基本的な環境整備に加えた、一歩踏み込んだ気候対策が非常に重要です。
「うちの犬は日本犬だから大丈夫」と思っていませんか?
日本犬はたしかに日本の気候に適応してきた犬種ですが、それは昔の気候の話。アスファルトに囲まれ、40℃近くまで気温が上がる現代の夏は、どんな犬にとっても過酷です。
具体的な対策として、夏場は犬小屋の風通しを良くするための工夫が求められます。
すのこを敷いて地面との間に空気の層を作ったり、日よけのシェードを設置したりするだけでも体感温度は大きく変わります。
凍らせたペットボトルをタオルで巻いて置いてあげるのも良いでしょう。
冬場は、とにかく寒さをしのげる保温対策が重要です。
犬小屋の壁や床に断熱材を入れたり、出入り口にビニールカーテンを取り付けたりして、外気をシャットアウトします。
内部には、毛布やわらを敷き詰め、ペット用のヒーターや湯たんぽを活用するのも効果的です。
何よりも大切なのは、気候が特に厳しい日には、ためらわずに犬を室内に入れてあげるという判断力です。
台風や豪雨、猛暑日や大雪の日など、「これは危ない」と感じたときには、玄関先でも構わないので、安全な場所へ避難させてあげてください。
そのひと手間が、愛犬の命を守ることにつながります。
「外飼いされている犬がかわいそう」とさせない飼い主の気づかい
この記事で解説してきたように、犬の外飼いには様々なリスクやデメリットが伴います。
それでも外飼いを選ぶのであれば、それを「かわいそう」なものにしないために、飼い主には絶え間ない「気づかい」と「手間」が求められます。
最後に、外飼いの犬を幸せにするためのポイントをまとめます。
まとめ
- 外飼いは虐待という世間の空気感を理解する
- 現代では室内飼いが基本であることを認識する
- 騒音や衛生面でご近所トラブルを起こさない配慮を徹底する
- 動物愛護管理法など法律を遵守する責任を持つ
- 外飼いは寿命が縮む可能性があるという事実を受け止める
- 孤独や恐怖からくる犬のストレスに寄り添う
- 脱走や事故を100%防ぐという覚悟で対策を講じる
- 病気の早期発見のため毎日の健康チェックを欠かさない
- ノミやダニ、フィラリアなどの寄生虫予防を徹底する
- 夏の猛暑と冬の極寒は犬にとって命の危険があると知る
- 雨風や直射日光をしのげる安全な犬小屋を用意する
- 常に新鮮な水を飲める環境を整える
- 犬小屋やその周辺を清潔に保つ
- 気候が厳しい日にはためらわず室内に入れる
- 毎日スキンシップの時間をとり、孤独を感じさせない
犬の外飼いが「かわいそう」と言われるのは、夏の暑さや冬の寒さ、病気や事故、そして孤独感といった多くのリスクがあるからです。
しかし、これらの懸念は飼い主の意識と具体的な行動で大きく変えることができます。
安全な犬小屋の設置や徹底した気候対策はもちろん、何より大切なのは、外にいても孤独を感じさせない日々のコミュニケーションです。
愛犬を「家族の一員」として想う愛情深い気づかいと手間こそが、外飼いを「かわいそう」にしない唯一の方法と言えるでしょう。
この記事が、あなたと愛犬とのより良い暮らしを考えるきっかけになれば幸いです。
