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愛犬の柴犬の尻尾が巻かない様子を見て、「どうしてだろう?」「何か異常があるのかな?」と心配になったことはありませんか。
そもそも柴犬はどんな犬で、どのような柴犬の種類がいるのでしょうか。
くるんと巻いた尻尾が一般的なイメージですが、実は柴犬の尻尾には右巻きや左巻き以外にも様々な種類が存在します。
この記事では、柴犬の尻尾が巻かないのはなぜか、という疑問にお答えします。
また、巻かないだけでなく尻尾が下がる場合に考えられる老化や病気の可能性、尻尾の動きから読み取れる豊かな感情についても詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
ポイント
- 柴犬の尻尾が巻かない理由がわかる
- 巻かない尻尾「太刀尾」など尻尾の種類を理解できる
- 尻尾が下がる場合に考えられる老化や病気について知れる
- 尻尾の動きから柴犬の感情を読み解くヒントが得られる
柴犬の尻尾が巻かないのはなぜ?
- そもそも柴犬はどんな犬?
- 知っておきたい柴犬の種類
- 巻かない尾も!柴犬の尻尾の種類
- 代表的な巻き方の右巻きと左巻き
- なぜ巻かない尻尾の柴犬がいるのか
そもそも柴犬はどんな犬?

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柴犬は、日本原産の犬種で国の天然記念物にも指定されている、古くから日本人と共に暮らしてきた犬です。
その歴史は非常に古く、縄文時代の遺跡から骨が発掘されるほど、長く私たちのパートナーであり続けてきました。
元々は、山岳地帯で鳥や小動物を狩る猟犬として活躍していたため、運動能力が高く、勇敢で賢い性質を持っています。
体格はがっしりとしていますが、日本犬の中では唯一の小型犬に分類され、現代の家庭環境でも飼育しやすい犬種です。
性格については、飼い主には非常に忠実で従順な一方で、独立心が強く、知らない人には警戒心を見せる一面もあります。
このような忠誠心の高さと、時に見せる頑固さが柴犬の大きな魅力と言えるでしょう。
信頼関係をしっかりと築くことで、最高の家族の一員となってくれます。
凛々しい立ち姿とくるんと巻いた尻尾がチャームポイントですが、その歴史や性格を知ると、さらに愛おしくなりますね。
知っておきたい柴犬の種類
一般的に「柴犬」と一括りにされがちですが、実はそのルーツによっていくつかの種類に分けられます。
現在、血統書を発行する団体では柴犬は1種類として登録されていますが、ルーツを辿ると主に以下の種類が存在します。
信州柴犬
現在ペットショップなどで見かける多くの柴犬のベースとなっているのが、この信州柴犬です。
長野県や群馬県などの山間部で活躍していた猟犬がルーツで、キリっとした顔立ちが特徴です。
山陰柴犬
鳥取県など山陰地方原産の柴犬で、今回のテーマである「巻かない尻尾」を持つ個体が多いことで知られています。
他の柴犬に比べて落ち着いた性格の子が多いとも言われています。
美濃柴犬
岐阜県原産の柴犬で、「緋赤(ひあか)」と呼ばれる美しい赤毛が特徴です。
かつては絶滅の危機に瀕しましたが、保存会の尽力によりその血が受け継がれています。
縄文柴犬
縄文時代の遺跡から出土した犬の骨格を元に、現在の柴犬の中から特徴が近い個体を選んで繁殖・再現された犬種です。
面長で足が長い、野性味あふれる姿をしています。
近年人気の豆柴ですが、これは犬種名ではなく、柴犬の中でも特に小さい個体を指す愛称です。
JKC(ジャパンケネルクラブ)などの団体では、独立した犬種としては認められていません。
小さい柴犬を作出するために無理な繁殖が行われるケースも指摘されており、迎える際には慎重な判断が求められます。
巻かない尾も!柴犬の尻尾の種類

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柴犬の尻尾といえば巻き尾が一般的ですが、実は巻き方や形によって非常に多くの種類に分類されます。
その数は9種類とも15種類とも言われ、個性の豊かさがうかがえます。
ここでは代表的なものを「巻き尾」と「差し尾(巻かないタイプ)」に分けてご紹介します。
| 分類 | 種類 | 特徴 |
|---|---|---|
| 巻き尾 | 右巻き・左巻き | 尻尾が背骨の左右どちらかに巻いている最も一般的なタイプ。 |
| 二重巻き | 巻きが強く、尻尾の先がほぼ一周している状態。 | |
| 車巻き | 左右に寄らず、背骨の真上で巻いているタイプ。 | |
| 半巻き | ゆるく巻いており、尻尾の先が背中に付かないタイプ。 | |
| 差し尾(巻かない) | 太刀尾(たちお) | 巻かずに、刀を立てたようにピンと真っ直ぐに伸びている。 |
| 差尾(さしお) | 尻尾の先が背中に届かず、半円を描くように前方に傾いている。 | |
| 薙刀尾(なぎなたお) | 体の延長線上から、ゆるやかなカーブを描いて上を向いている。 |
この他にも、尻尾の長さや角度によってさらに細かく分類されることがあります。
愛犬の尻尾がどのタイプか観察してみるのも面白いかもしれません。
代表的な巻き方の右巻きと左巻き
柴犬の尻尾の中で、最も多く見られるのが「右巻き」と「左巻き」です。
これは、尻尾が巻く方向が背骨を中心にして右側か左側かによって決まります。
どちらが良い、悪いということはなく、完全にその犬の個性となります。
巻きの強さも様々で、くるっと一周するほどの「二重巻き」や、背中の真上でタイヤのように巻く「車巻き」、巻きがゆるい「半巻き」など、同じ巻き尾の中でもバリエーションは豊かです。
これらの巻き尾は、柴犬の愛らしいお尻の動きをより一層引き立てるチャームポイントになっています。
なぜ巻かない尻尾の柴犬がいるのか
結論から言うと、柴犬の尻尾が巻かないのは、「太刀尾(たちお)」と呼ばれる珍しいタイプの尻尾である可能性が高いです。
これは遺伝的な特徴の一つで、病気や異常ではありません。
特に、前述の通り「山陰柴犬」に多く見られる特徴として知られています。
刀を立てたように凛々しく伸びる尻尾は、一般的な巻き尾とはまた違った魅力を感じさせます。
もしあなたの愛犬の柴犬の尻尾が巻いていなくても、それはその子が持つユニークな個性の一つです。
珍しい特徴ですので、ぜひ誇りに思ってあげてください。
豆知識:尻尾が巻くようになったのは人と暮らすようになったから?
柴犬の祖先であるオオカミの尻尾は真っ直ぐです。
一説には、犬が人と共に暮らすようになり、猟犬としての緊張感から解放されてリラックスする時間が増えた結果、尻尾の筋力が低下して自然と巻くようになった、というものがあります。
真偽は定かではありませんが、人と犬の長い歴史を感じさせる興味深い説ですね。
病気?柴犬の尻尾が巻かない・下がる原因

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- 尻尾の動きで読み解く犬の感情
- 尻尾が力なく下がるのは老化のサイン?
- 尻尾の異常で考えられる病気
- 骨折や神経障害の可能性
- ストレスによる尻尾を噛む行動
尻尾の動きで読み解く犬の感情
犬の尻尾は、体のバランスを取る役割の他に、感情を表現するための重要なコミュニケーションツールです。
柴犬は巻き尾のため表情が分かりにくいと思われがちですが、注意深く観察すると様々な気持ちを読み取ることができます。
例えば、嬉しい時や楽しい時は、尻尾の位置をいつもより高くして、左右に大きくフリフリと振ります。
振るペースが速いほど興奮度が高いサインです。
一方で、尻尾がだらんと下がっている時は、不安や恐怖を感じている可能性があります。
特に、お腹側に巻き込むように尻尾を隠すのは、強い恐怖心の表れです。
また、尻尾を振りながら唸っていたり、背中の毛が逆立っていたりする場合は、喜びではなく威嚇や警戒を示していることがあるため、注意が必要です。
尻尾の動きと合わせて、耳や口元の表情も観察することで、愛犬の気持ちをより深く理解できます。
尻尾が力なく下がるのは老化のサイン?

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今までピンと上がっていた尻尾が、以前より低い位置で垂れ下がっている場合、それは老化のサインである可能性が考えられます。
犬も人間と同じように、歳を重ねると筋力が低下していきます。
特に背中や後ろ足の筋肉が衰えると、自然と腰の位置が低くなり、それに伴って尻尾も上がりにくくなるのです。
7歳を過ぎたシニア期に入ると、このような変化が見られ始めることがあります。
ただし、単なる老化現象だと安易に判断するのは禁物です。
尻尾が下がる原因は他にも考えられるため、元気や食欲、歩き方など、他に変わった様子がないか総合的に見てあげることが大切になります。
尻尾の異常で考えられる病気
もし愛犬の尻尾がいつもと違って上がらない、または触ると痛がるなどの症状がある場合、何らかの病気や怪我が隠れている可能性があります。
単なる老化や気分の問題と片付けずに、原因を探ることが重要です。
考えられる原因は多岐にわたりますが、代表的なものとして以下のようなものが挙げられます。
- 捻挫や打撲などの外傷
- 骨折や脱臼
- 椎間板ヘルニアなどの神経系の障害
- 肛門嚢炎など、お尻周りのトラブル
特に柴犬は我慢強い性格の子も多く、痛みをあまり表に出さないことがあります。
いつもより元気がない、食欲がないといった他の体調不良のサインと合わせて、尻尾の異変が続くようであれば、早めに動物病院を受診しましょう。
骨折や神経障害の可能性
尻尾が上がらない原因として、特に注意したいのが骨折や神経障害です。
尻尾はたくさんの小さな骨(尾椎)で構成されており、ドアに挟んだり、強くぶつけたりといったアクシデントで骨折してしまうことがあります。
また、背骨の病気である椎間板ヘルニアや馬尾症候群などが原因で、尻尾につながる神経が圧迫され、麻痺して上がらなくなるケースも報告されています。
これらの病気は強い痛みを伴うことが多く、進行すると歩行困難に陥る危険性もあります。
ポイント
「尻尾が全く動かない」「触るとキャンと鳴く」「歩き方がおかしい」「元気や食欲がない」といった症状が見られる場合は、重篤な病気の可能性があります。
自己判断はせず、速やかに獣医師の診察を受けてください。
ストレスによる尻尾を噛む行動
自分の尻尾をぐるぐると追いかけたり、噛んだりする行動(テイルチェイシング)が見られる場合、その背景にはストレスが隠れているかもしれません。
子犬の頃は、自分の尻尾をおもちゃと認識して遊んでいるだけの場合がほとんどです。
しかし、成犬になってもこの行動が頻繁に見られたり、エスカレートして尻尾を傷つけてしまったりする場合には注意が必要です。
運動不足や長時間の留守番による寂しさ、環境の変化などがストレスとなり、常同行動として現れている可能性があります。
ストレス以外にも、アレルギー性皮膚炎やノミ・ダニによる痒み、てんかん発作の一種としてこの行動が見られることもあります。
行動が過剰な場合は、まずストレスの原因を取り除いてあげるとともに、皮膚の状態などをチェックし、改善しない場合は獣医師に相談することをおすすめします。
愛犬の行動には、必ず何らかの理由があります。
日頃からよく観察し、ささいな変化に気づいてあげることが、健康を守る第一歩ですね。
まとめ:柴犬の尻尾が巻かない悩みについて
この記事では、柴犬の尻尾が巻かない理由から、尻尾が下がってしまう場合に考えられる原因まで幅広く解説しました。
最後に、記事の要点をリストで振り返ります。
まとめ
- 柴犬の尻尾が巻かないのは「太刀尾」という珍しい個性
- 太刀尾は特に山陰柴犬に多く見られる特徴
- 柴犬の尻尾には右巻き・左巻きなど多くの種類がある
- 豆柴は正式な犬種ではなく愛称
- 尻尾は感情を表現する大切なコミュニケーションツール
- 嬉しい時は尻尾を高く上げ大きく振る
- 怖い時は尻尾が下がりお腹に巻き込むことも
- 加齢による筋力低下で尻尾が下がるのは老化のサイン
- ただし老化と決めつけず他の変化も観察することが重要
- 尻尾が上がらない原因として捻挫や骨折の可能性がある
- 椎間板ヘルニアなどの神経障害が隠れていることも
- 肛門周りのトラブルで尻尾を下げている場合もある
- 尻尾を過度に追う行動はストレスのサインかもしれない
- 尻尾の異常が続く場合は迷わず動物病院を受診する
- 愛犬の尻尾の個性も健康状態も日頃の観察が大切
(参照:公益社団法人 日本犬保存会)
今回は、柴犬の尻尾が巻かない理由から、下がる場合に考えられる原因まで詳しく解説しました。
巻かない尻尾は「太刀尾」に代表される個性豊かな種類の一つであり、その子だけの特別な魅力です。
一方で、尻尾は感情を伝えるだけでなく、健康状態を映す大切なバロメーターでもあります。
いつもと違う様子が見られたら、それは老化や病気のサインかもしれません。
この記事を通じて、愛犬の尻尾への理解を深め、日々の観察がいかに重要かを感じていただけたなら幸いです。
ささいな変化に気づけるのは、一番近くにいるあなただけです。
愛犬との健やかな暮らしのために、ぜひ今日の情報をお役立てください。


