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「ゴールデンレトリバーを迎えたら家がボロボロになった」という悩みをよく耳にします。
愛犬のいたずらの原因には、子犬期の歯の生え変わりや運動不足、寂しさからくるストレス、飼い主さんの気を引きたいという気持ちなど、様々な理由が考えられます。
この記事では、具体的な対策として、しつけの見直しや社会化の重要性、そして快適な飼育環境の整え方まで、網羅的に解説します。
ポイント
- ゴールデンレトリバーが家をボロボロにする行動の理由
- 子犬期から成犬期までの具体的な問題行動対策
- ストレスを軽減させるための飼育環境のポイント
- 正しいしつけと社会化トレーニングの方法
なぜゴールデンレトリバーは家をボロボロにする?
- 家がボロボロになる行動の根本原因
- 子犬の歯の生え変わりによる噛み癖
- 留守番などによるストレスのサイン
- 毎日の散歩だけでは運動不足かも
- 飼い主の気を引きたいという心理
家がボロボロになる行動の根本原因

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ゴールデンレトリバーが家の中の物を破壊してしまう行動には、決して一つの理由だけがあるわけではありません。
多くの場合、犬種特有の性格、年齢、そして現在の生活環境といった複数の要因が複雑に絡み合って問題行動として現れます。
もともとゴールデンレトリバーは、非常に好奇心旺盛で遊び好きな性格をしています。
特に子犬から若犬の時期(3歳頃まで)はエネルギーに満ち溢れており、その有り余る元気をどこかで発散させる必要があるのです。
このため、エネルギーの発散が不十分であったり、精神的な刺激が足りなかったりすると、その矛先が家具や壁紙に向かってしまうことがあります。
言ってしまえば、彼らにとっては家の中にあるもの全てが「楽しそうなおもちゃ」に見えているのかもしれません。
これから解説する具体的な原因を一つずつ理解し、ご自身の愛犬がどのケースに当てはまるのかを考えることが、解決への第一歩となります。
問題行動の原因を探るポイント
- いつ:留守番中か、飼い主がいる時か
- 何を:特定の物だけか、手当たり次第か
- どんな時:運動後か、運動前か
これらの状況を観察することで、原因の特定に繋がります。
子犬の歯の生え変わりによる噛み癖
もし愛犬が生後4ヶ月から7ヶ月頃の子犬であれば、家の中の物を噛んでしまうのは歯の生え変わりが原因である可能性が非常に高いです。
この時期、犬は乳歯から永久歯へと歯が生え変わる過程で、歯茎に強いかゆみや違和感(歯がゆさ)を感じます。
そのため、その不快感を解消しようと、手近にある硬いものを夢中で噛んでしまうのです。
特に、テーブルの脚や椅子の脚、家の柱などは、子犬にとって格好の「歯固め」になってしまいます。
これは犬の本能的な行動であり、決して悪意があって行っているわけではありません。
しかし、この時期の噛む行動を「仕方ない」と放置してしまうと、「物を噛むこと自体は悪いことではない」と学習してしまい、成犬になっても続く「噛み癖」として定着してしまう恐れがあります。
噛み癖を定着させないために
この時期に最も重要なのは、「噛んではいけないもの」と「噛んでも良いもの」を明確に教えてあげることです。
家具などを噛み始めたら、低い声で「ダメ」と短く伝え、すぐに犬用の噛むおもちゃ(デンタルトイなど)を与えてください。
そして、おもちゃを噛んで遊んでいたら、たくさん褒めてあげましょう。
この繰り返しが、正しいルールを学習させることに繋がります。
留守番などによるストレスのサイン
犬はストレスを感じると、その発散のために物を破壊する行動に出ることがあります。
ゴールデンレトリバーは非常に社交的で飼い主と一緒にいることを好む犬種のため、長時間の留守番やコミュニケーション不足は大きなストレスの原因となります。
今まで全くいたずらしなかったのに、急に物を破壊するようになった場合は、生活環境の変化などがなかったか振り返ってみましょう。
例えば、家族の生活リズムが変わって留守番の時間が長くなった、散歩の時間が短くなった、新しいペットが増えた、といったことが引き金になる場合があります。
また、特に飼い主の不在時に限定して破壊行動や無駄吠え、粗相などが見られる場合、「分離不安」という精神的な問題を抱えている可能性も考えられます。
これは、飼い主と離れることに極度の不安を感じてパニック状態に陥ってしまう状態で、単なる「寂しがり」とは異なります。
分離不安が疑われる行動が破壊行動以外にも見られる場合は、行動診療を専門とする獣医師やドッグトレーナーなど、専門家への相談をおすすめします。
愛犬が安心して留守番できるよう、適切なサポートを受けることが大切です。
毎日の散歩だけでは運動不足かも

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家の中がボロボロになる原因として、最も多くのケースで考えられるのが単純な運動不足です。
ゴールデンレトリバーはもともと鳥猟犬として活躍していた犬種であり、そのエネルギッシュな性質は現代でも変わりません。彼らが必要とする運動量は、他の犬種と比較しても非常に多い部類に入ります。
そのため、毎日の散歩を欠かさず行っていても、その内容が十分でなければエネルギーを持て余してしまうのです。
特に、ただ歩くだけの単調な散歩では、体力的にも精神的にも満足できないことが多いでしょう。
有り余ったエネルギーは、家の中を走り回ったり、家具を破壊したりといった形で発散されます。
もし愛犬の破壊行動が夕方や夜に集中しているなら、それは一日の活動量が足りていないサインかもしれません。
「毎日1時間の散歩は欠かしていないのに、どうして…?」と感じるかもしれませんね。
しかし、彼らにとっては時間だけでなく「運動の質」も重要です。
時には全力で走れるドッグランに連れて行ったり、ボール遊びや引っ張りっこ遊びを取り入れたりすることで、心身ともに満たされ、家での問題行動が驚くほど減少することがありますよ。
飼い主の気を引きたいという心理
犬は非常に賢い動物であり、どうすれば飼い主の注意を自分に向けられるかを学習します。
もし、愛犬があなたの目の前でわざとティッシュを引っ張り出したり、スリッパを噛んだりする場合、それは「もっと構ってほしい」という気持ちの表れかもしれません。
この行動の背景には、過去の経験が関係しています。
例えば、愛犬が以前にいたずらをした時、「こら!」「だめでしょ!」と大きな声で反応したり、慌てて追いかけたりしたことはありませんか?
犬にとっては、たとえそれが叱られている状況であっても、飼い主が自分に注目してくれた「嬉しい出来事」と学習してしまうことがあります。
この学習が成立すると、「いたずらをすれば、飼い主さんが遊んでくれる(反応してくれる)」と勘違いし、あなたの気を引くために意図的に問題行動を繰り返すようになってしまうのです。
これを専門的には「注意喚起行動」と呼びます。
注意喚起行動への対処は、「望ましくない行動は徹底的に無視し、望ましい行動(静かにおもちゃで遊んでいる時など)を褒める」ことが基本です。
最初は心を鬼にして無視を貫く必要がありますが、犬が「いたずらしても意味がない」と学習すれば、行動は徐々に減っていきます。
ゴールデンレトリバーに家をボロボロにさせない対策

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- 今すぐできる具体的な対策を紹介
- 効果的なしつけの見直しポイント
- 安心できる飼育環境の整え方
- 問題行動を減らす社会化トレーニング
- 愛犬との暮らしでゴールデンレトリバーに家をボロボロにさせないまとめ
今すぐできる具体的な対策を紹介
愛犬のしつけやトレーニングには時間がかかりますが、家を物理的に守る対策は今すぐ始めることができます。
これらは問題行動の根本解決にはなりませんが、被害を最小限に食い止め、誤飲などの危険な事故を防ぐ上で非常に重要です。
まずは、犬がいたずらできてしまう環境そのものを見直すことから始めましょう。
犬の目線に立って部屋の中を見渡すと、危険なものや壊されたくないものがたくさんあることに気づくはずです。
物理的な保護と環境整備
壁や床、家具などを守るための具体的な方法をいくつか紹介します。
賃貸住宅でも使えるアイテムも多くありますので、ぜひ参考にしてください。
| 対策箇所 | 対策方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 床 | タイルマットやペット用クッションフロアを敷く | 滑り止め効果で足腰の負担を軽減。爪の傷防止。汚れた部分だけ交換・洗浄できる。 | 広範囲に敷くとコストがかかる。マットの隙間にゴミが溜まりやすい。 |
| 壁・柱 | 腰壁シートや爪とぎ防止シートを貼る | 引っ掻きや噛みつきから壁紙を保護。貼って剥がせるタイプなら賃貸でも安心。 | 犬がシート自体を剥がしてしまう可能性がある。見た目が変わる。 |
| 家具 | 噛みつき防止スプレー(苦い味)を塗布する | 手軽に試せる。犬が「これを噛むと嫌な味がする」と学習する助けになる。 | 効果には個体差がある。頻繁に塗布する必要がある。 |
| 危険区域 | ペットゲートを設置する | キッチンや玄関など、入ってほしくない場所への侵入を物理的に防ぐ。誤飲事故防止に効果大。 | 人間が跨ぐのが面倒。設置場所に制約がある。 |
これらの対策を組み合わせることで、愛犬と飼い主の双方が安心して暮らせる空間を作ることができます。
効果的なしつけの見直しポイント
破壊行動をやめさせるためには、飼い主の対応、つまり「しつけ」の方法を見直すことが不可欠です。
ゴールデンレトリバーは非常に賢く、飼い主に喜んでもらうことが大好きな犬種なので、正しい方法で根気よく伝えれば必ず理解してくれます。
重要なのは、家族全員でルールを統一し、一貫した態度で接することです。
ある人は叱り、ある人は許す、という状況では犬が混乱してしまい、何も学習できません。
叱り方と褒め方の基本
しつけの基本は「良い行動を増やし、悪い行動を減らす」ことです。
そのための具体的なポイントを見ていきましょう。
- 現行犯で叱る:犬は時間が経ってから叱られても、何に対して叱られているのか理解できません。いたずらをしている、その瞬間に「ダメ」「いけない」など短い言葉で伝えます。
- 低い声で短く:甲高い声で長く叱ると、犬は興奮したり、構ってもらっていると勘違いしたりします。冷静に、低く、威厳のある声で伝えましょう。
- 体罰は絶対にNG:叩いたりすることは、犬に恐怖心を与えるだけで信頼関係を壊し、別の問題行動を引き起こす原因になります。
- できたら大げさに褒める:最も重要なポイントです。いたずらをやめた瞬間や、おもちゃで上手に遊んでいる時などに、「いい子!」「上手だね!」と心から褒めてあげてください。ご褒美のおやつも効果的です。犬は褒められることで、「この行動をすると良いことがある」と学習します。
この「叱る」と「褒める」のメリハリが、効果的なしつけの鍵となります。
安心できる飼育環境の整え方

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犬が安心して過ごせる自分だけの場所、いわゆる「ハウス」や「パーソナルスペース」を提供することは、精神的な安定に繋がり、問題行動の抑制に非常に効果的です。
常にリビングで自由に過ごさせるのではなく、落ち着いて休める環境を意図的に作ってあげましょう。
この安全基地があることで、犬は留守番中や飼い主が忙しい時でも、そこでリラックスして過ごすことを覚えます。
これは、前述の分離不安の軽減にも繋がります。
クレートとサークルの活用
具体的なアイテムとしては、クレート(またはケージ)とサークルの活用がおすすめです。
クレートを「お仕置きの場所」ではなく、「安心できる寝床」として教えます。
中にお気に入りのおもちゃや毛布を入れ、おやつを使って自分から入るように誘導しましょう。
扉を閉めても落ち着いていられるよう、少しずつ時間を延ばしていきます。
これができれば、留守番時だけでなく、旅行や災害時の避難においても役立ちます。
また、飼い主の目が届かない留守番中や就寝時には、サークルで行動範囲を区切ることも有効です。
サークルの中には、トイレ、寝床(クレート)、水、そして安全なおもちゃだけを置きます。
これにより、家全体を破壊されたり、危険物を誤飲したりするリスクを大幅に減らすことができます。
犬の誤飲事故は0歳で最も多いというデータもあります。
愛犬の命を守るためにも、環境整備は非常に重要です。
(参照:アニコム損害保険株式会社「STOP誤飲プロジェクト」)
問題行動を減らす社会化トレーニング
「社会化」とは、子犬がこれから生きていく上で出会うであろう様々な刺激(人、犬、物、音、場所など)に慣れ、それらを怖がらずに受け入れられるように学習するプロセスを指します。
この社会化が十分にできている犬は、精神的に安定しており、ストレス耐性も高くなるため、不安や恐怖からくる破壊行動や無駄吠えといった問題行動が起こりにくいと言われています。
社会化に最適な時期は、生後3週齢から14週齢頃までの「社会化期」とされています。
この時期に経験したことは、犬のその後の性格形成に大きな影響を与えます。
もちろん、この時期を過ぎてしまった成犬でも、社会化トレーニングが遅すぎるということはありません。
根気よくポジティブな経験を積ませてあげることで、少しずつ世界を広げてあげることが可能です。
社会化のためにできること
- 色々な音に慣らす:日常生活の中で、掃除機やドライヤー、テレビの音などを聞かせ、怖いものではないと教えます。
- 他の犬や人と触れ合う:ワクチンプログラムが完了したら、パピークラスやドッグランなどを利用し、他の犬との上手な挨拶の仕方を学びましょう。犬好きな友人に来てもらうのも良い経験になります。
- 様々な場所へ行く:散歩コースを毎日変えたり、車に乗って公園やカフェ(ペット可)に行ったりすることで、新しい環境への適応能力が高まります。
無理は禁物です
社会化で最も大切なのは、犬にとって「楽しい」「嬉しい」経験をさせてあげることです。
無理やり他の犬に近づけたり、怖がっているのに知らない人に触らせたりすると、かえってトラウマになってしまう可能性があります。
愛犬のペースに合わせて、少しずつステップアップしていきましょう。
愛犬との暮らしでゴールデンレトリバーに家をボロボロにさせないまとめ

まとめ
- 家がボロボロになる原因は一つではない
- 子犬期は歯の生え変わりで物を噛みやすい
- 噛んで良いおもちゃを与え欲求を満たす
- 運動不足は破壊行動の大きな原因となる
- 毎日の散歩に加えボール遊びなどを取り入れる
- 留守番の時間が長いとストレスを感じやすい
- 分離不安の兆候があれば専門家に相談する
- 飼い主の気を引くためにいたずらをすることがある
- 問題行動は無視し良い行動を褒める
- 物理的に危険なものは片付けて環境を整える
- 留守番中はサークルで行動範囲を制限する
- 滑りにくい床材は犬の足腰の負担を減らす
- しつけは家族全員でルールを一貫させることが大切
- 子犬期の社会化は将来の問題行動を予防する
- 原因を理解し愛犬に合った対策を見つけることが重要
ゴールデンレトリバーが家をボロボロにする原因と対策を解説しました。
愛犬の行動には、運動不足やストレス、気を引きたい気持ちなど、必ず理由があります。
そのサインを正しく理解し、叱るだけでなく、エネルギーを発散できる遊びや安心できる環境を整えることが解決の鍵です。
効果的なしつけと物理的な対策を組み合わせ、愛犬との信頼関係をじっくり築きましょう。
根気強く向き合うことで、いたずらは着実に減っていきます。
この記事が、愛犬との豊かな毎日への一助となれば幸いです。


