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こんにちは。高須商店の細峰です。
柴犬と一緒に暮らしていると、ふとした瞬間に他のワンちゃんが救急車のサイレンに合わせて遠吠えをしている姿を見て、うちの子は柴犬なのに遠吠えをしないなと不思議に思うことがあるかもしれません。
ネットで検索してみても、柴犬の遠吠えの理由や性格的な特徴、サイレンに反応しない個体の心理についての情報はたくさんありますが、全くしないことに対して不安を感じてしまう飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、柴犬が遠吠えをしない背景には、彼らが持つ独特の遺伝的背景や、現代の生活環境への適応といった、とても興味深い理由が隠されているのです。
この記事では、行動学的な視点や身体的な要因を交えながら、愛犬が静かに過ごしている理由についてお話ししていきます。
最後まで読んでいただければ、その沈黙が信頼の証であることに気づいていただけるはずです。
ポイント
- 柴犬が遺伝的にオオカミに近くても遠吠えをしない合理的な理由
- サイレンや他犬の声に反応しない時に愛犬の頭の中で起きていること
- 沈黙の裏に隠れているかもしれない身体的な不調や老化のサイン
- どうしても愛犬と遠吠えを楽しみたい場合の具体的な練習手順

柴犬が遠吠えをしない理由とオオカミに近い遺伝的背景
柴犬は、その愛らしい見た目とは裏腹に、非常に原始的な犬種であることをご存知でしょうか。
まずは、彼らがなぜ「吠える能力」を持ちながら、あえて「沈黙」を選んでいるのか、その本質的な理由から深掘りしていきましょう。
柴犬が遠吠えをしないのは珍しいことではない

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「うちの子、一度も遠吠えをしたことがないんです」という悩みを聞くことがありますが、結論から言うと、柴犬が遠吠えをしないことは決して珍しいことではありません。
むしろ、現代の日本の家庭で暮らす柴犬にとっては、それがスタンダードになりつつあると言ってもいいかもしれません。
柴犬はもともと無駄吠えが少なく、自分の感情を大きな声で撒き散らすタイプではない個体が多いのです。
そのため、周囲の音に対して静かに構えているのは、その子が精神的に自立しており、落ち着いた性格であることを示しています。
寂しさや不安から声を張り上げる必要がない、満たされた状態であると捉えてあげてくださいね。
個体差と「ライン」の影響
もちろん、個体差はあります。
ただ、柴犬の気質は親犬から強く受け継がれる傾向があるため、音に対して過敏ではない系統から生まれた子は、生涯を通じて遠吠えをしないことも多いのです。
これは「吠える能力がない」のではなく、「吠える必要がない性格」として確立されていると言えます。
オオカミの血を引く柴犬が沈黙を守る合理性
柴犬がオオカミに近い遺伝子を持っているのは事実ですが、彼らには猟犬として培ってきた「沈黙の美学」があります。
かつて日本の山岳地帯で猟師とともに獲物を追っていた時代、むやみに吠えることは獲物に自分の位置を知らせてしまうリスクがありました。
最新のゲノム解析においても、柴犬は全犬種の中で最もオオカミに近い「Basal Breeds(基本犬種)」の一群に属することが確認されています。
(参照元:Cell Reports『Genomic Epidemiology of the Old World Dog』)
遠くの仲間に居場所を伝える必要がない現代の家の中では、彼らにとって遠吠えはエネルギーの無駄遣いに過ぎないのかもしれません。
オオカミに近いからこそ、野生の勘で「今は静かにしているのが得策だ」と判断していると考えると、なんだかとても賢く感じられますよね。
救急車のサイレンなどの音に反応しない心理

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救急車やパトカーのサイレンが聞こえると、本能的に遠吠えで返してしまうワンちゃんは多いものです。
これは、サイレンの周波数が仲間の遠吠えに似ているためだと言われています。
ただ、柴犬の中にはこれを聞いても、耳を少し動かすだけで完全にスルーしてしまう子がいます。
これは、その音が「自分には無関係な人工音である」と正しく識別できている証拠です。
反応しないからといって、野生を忘れたわけではなく、高度な情報処理能力によって不要な反応を抑制しているのです。
飼い主さんとの静かな時間を優先している彼らなりの知的な選択なのかもしれません。
以前に比べて騒音の多い都市部での生活に適応した結果とも言えるでしょう。
柴犬特有 of 自立した性格と精神的な安定感
柴犬には「柴距離」という言葉があるように、ベタベタしすぎない適度な距離感を好む傾向があります。
この強い自立心は、遠吠えをしないことにも深く関係しています。
他者に依存しすぎないため、ちょっとした刺激でパニックになったり、仲間に向かって叫んだりすることが少ないのです。
この安定感は、飼い主さんとの間にしっかりとした信頼関係が築かれているからこそ生まめるものです。
「私はここで安全に守られている」という確信があるから、遠くの何かに向かって声を出す必要がないのですね。
不安を感じていないからこその「沈黙」なのです。
分離不安がなく静かに留守番ができる理由

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遠吠えの大きな原因の一つに「分離不安」があります。
飼い主さんがいなくなると不安でたまらなくなり、呼び戻そうとして遠吠えをしてしまう状態です。
もし皆さんの愛犬が留守番中に静かにしているのであれば、それはとても素晴らしいことです。
柴犬はもともと一人の時間を楽しむのが得意な犬種ですが、それでも留守番中に吠えないのは精神的に自律している証拠です。
一人の時間をストレスなく過ごせているのは、柴犬らしい精神的強さがあるからです。
寂しいからといって叫ばず、次に会える時までエネルギーを温存して待っている姿は、まさにパートナーとしての適応能力が高いと言えるでしょう。
これは飼い主さんが日頃から安心感を与えている証でもあります。
社会化によって周囲の音を無視する高度な適応力
子犬の時期にしっかりと社会化のトレーニングを積んだ柴犬は、日常の様々な音を「背景の一部」として受け入れるようになります。
車を走らせる音、近所の騒音、テレビから流れる他犬の声などを、脅威ではないと学習しているのです。
この「聞き流す力」こそが、無駄な遠吠えをしない最大の理由かもしれません。
このように、外部の刺激にいちいち反応せずにスルーできる能力を「馴化(じゅんか)」と呼びます。
都市部で暮らす犬にとって、この適応力はストレスを溜めないために非常に重要なスキルです。
遠吠えをしないのは、彼らが現代社会において非常にスマートに生きている結果なのです。
彼らは非常に高い認知フィルターを持っているのですね。
柴犬が遠吠えをしない際に注意すべき病気や練習方法

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性格や環境的な理由で「しない」のであれば全く問題ありませんが、急に様子が変わった場合は別の視点が必要です。
また、遠吠えを一つのコミュニケーションとして楽しみたい場合のコツについても見ていきましょう。
老化や聴覚の病気で急に遠吠えが消える可能性
以前はサイレンに合わせて遠吠えをしていたのに、ある時期から急にしなくなったという場合は、少し注意が必要です。
まず考えられるのは聴力の低下です。
特にシニア期に入った柴犬は、これまで聞こえていた高い周波数の音が聞き取りにくくなることがあります。
老化現象は緩やかに進むので気づきにくいのですが、反応がなくなる一因となります。
音が聞こえなければ反応も起きないため、結果として遠吠えがなくなります。
また、中耳炎などの耳のトラブルで痛みがある場合も、反応が鈍くなることがあります。
おやつの袋の音や、背後からの呼びかけに気づきにくくなっていないか、日常の様子をよく観察してあげてください。
聴覚の低下は不安を増大させることもあるので、優しく見守ってあげることが大切です。
喉の炎症や身体的な不調で声が出にくい原因

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声を出したそうな仕草はするけれど、音が出ていないという場合は、身体的な不調が隠れているかもしれません。
喉頭炎や気管支炎など、喉の粘膜に炎症があると、声を出すのが辛くて沈黙を選んでしまうことがあります。
柴犬は我慢強い性格なので、痛みを表情に出さないことも多いのです。
| 疑われる症状 | チェックポイント |
|---|---|
| 喉頭・気管のトラブル | 咳き込んだり、呼吸の時にゼーゼー音がしたり、逆くしゃみのような動作がないか。 |
| 内科的疾患(痛み) | 元気がなく、歩き方が不自然だったり、腹部を触られるのを嫌がったりしないか。 |
| 認知機能の変化 | 壁を見つめて動かなくなったり、夜間の活動パターンが変わったりしていないか。 |
柴犬は痛みを隠すのがとても上手な犬種です。
単に「おとなしくなった」と思っても、実は体のどこかが辛いという可能性も否定できません。
異変を感じたら、自己判断せず早めに動物病院の先生に相談してくださいね。
正確な情報は公式サイトをご確認いただくか、信頼できる専門家のアドバイスを仰ぐのが一番です。
柴犬に遠吠えの教え方や発声を促す練習の手順
「どうしても一度はワオーンと鳴く姿を見てみたい!」という方は、遊び感覚で練習してみるのも一つのコミュニケーションです。
ただ、柴犬にとって発声はエネルギーを要することなので、無理強いは禁物です。
楽しい雰囲気の中で、以下のステップを試してみてください。
1:興味を引く音を探す
ハーモニカの特定の音や、スマホの動画サイトにある「他の柴犬の遠吠え」など、愛犬が耳をピクッと動かしたり、首をかしげたりする音を見つけます。
2:飼い主さんがお手本を見せる
これが意外と重要です。
飼い主さんが上を向いて「ワオーン」と楽しそうに声を出すと、柴犬が「何してるの?」と興味を持ち、模倣行動をとることがあります。
3:小さな反応を褒める
「ウー」と鼻を鳴らしたり、小さく「ワフッ」と言ったりしたら、すかさずおやつを与えて全力で褒めます。
「声を出すと良いことがある」と学習させていくのがコツです。
4:コマンドを添える
発声の瞬間に「歌って」や「ワオーン」といった指示語を添えます。
これを繰り返すことで、言葉の合図で遠吠えを引き出せるようになります。
ただ、一度覚えると、ご飯が欲しい時などの「要求吠え」として遠吠えを使ってしまうリスクもあります。
指示した時だけ反応するように、メリハリをつけて教えてあげてくださいね。
遠吠え動画のように飼い主と合唱を楽しむコツ

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動画サイトで見かけるような「合唱」を楽しむには、まず飼い主さんがリラックスして、全力で楽しむことが大切です。
柴犬は飼い主さんの表情やテンションをとてもよく見ています。
飼い主さんが歌う姿を見て、愛犬が「何だか面白そうな遊びだな」と思ってくれたら大成功です。
アイコンタクトを取りながら、リズムを合わせてみると一体感が生まれます。
ただ、柴犬の中には発声そのものを心理的な負担と感じる子もいます。
もし、愛犬が困ったような顔をして去ってしまう、あるいはアクビをして目をそらすのであれば、その子は静かな環境を愛するタイプです。
その場合は無理に誘わず、その子の「寡黙な美学」を尊重してあげましょう。
声を使わなくても、しっぽの動きや耳の向き、そして「ヒコーキ耳」で、彼らは十分に愛を伝えてくれています。
まとめ:柴犬が遠吠えをしない平和な関係の構築
柴犬が遠吠えをしないというお悩みについてお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか。
オオカミに近い遺伝子を持ちながらも沈黙を守るその姿は、決して感情がないわけではなく、むしろ今の環境に満足し、精神的に自立している証拠なのです。
彼らの沈黙は、不安や葛藤がない、とても穏やかな精神状態を映し出しています。
遠吠えをしないことは、家庭犬としての適応能力が非常に高いということでもあります。
無駄なエネルギーを使わず、不必要なノイズをスルーして、穏やかに毎日を過ごせている現状を、ぜひポジティブに捉えてあげてください。
もちろん、病気や老化による急な変化には注意が必要ですが、基本的には「吠えない=信頼と平和の証」と考えて間違いありません。
彼らは言葉(声)ではなく、その佇まいそのもので飼い主さんへの愛を表現しているのです。
愛犬が静かに寄り添ってくれるその時間の中に、柴犬なりの深い信頼が込められています。
その寡黙な愛情をしっかりと受け止めて、これからも素敵な柴ライフを送ってくださいね。
もし体調面や行動面でどうしても不安な点があれば、最終的な判断は専門の獣医師にご相談いただくことを忘れないでください。
静かな柴犬との暮らしは、実はとても贅沢なものなのですよ。
